いちばん遠い場所

okatake2010-05-19

昨晩、酔っぱらってしまい(一人での部屋飲みは、ピッチが早く飲み過ぎるのでいかん)、今朝、TBSの放送原稿を送る。阿部了・阿部直美『おべんとうの時間』木楽舎木村衣有子さんのブログで知ったのだが、これはほんとうにいい本だった。「おべんとうの向うに笑顔がある」と勝手にコピーをつけてしまいました。ぼくがいちばん食べてみたいと思ったおべんとうは、鎌倉のジャム工房「ロミ ユニ・コンフィチュール」で働く津田敦子さんが作ったの。黒豆ともちきび入りゴハン、海苔を巻き込んだ卵焼きとヘルシーかつウツクしい。
クレヨンハウスから長田弘『詩ふたつ』が送られてきました。善行堂から話が行ったみたい。二つの長い詩と、クリムトの絵を組み合わせた、大人の絵本という感じの体裁。りっぱな本です。あとがき、を読むと、どうも長田弘さんの奥様が亡くなられて、それを詩にしたものらしい。「亡くなった人が後に遺してゆくのは、その人の生きられなかった時間であり、その死者の生きられなかった時間を、ここに在るじぶんがこうしていま生きているのだという、不思議にありありとした感覚」と長田さんは書く。
「いちばん遠い場所であることに気づいた。
 この世からいちばん遠い場所が、
 ほんとうは、この世に


 いちばん近い場所だということに。
 生きるとは、年をとるということだ。
 死んだら、年をとらないのだ。」


みすず書房から、『夕暮の緑の光』の社の在庫がなくなった、という知らせが。まだこれから返品があるから、うかつに言えないのだが、とにかくよく売れているらしい。先日の池内紀さんの書評の影響ももちろんのこと、ネット上でみなさんが話題にしてくださったことが大きいと思っています。