一箱古本市補遺

okatake2010-05-04

そうそう「一箱」では、漫画家のわかつきめぐみさんが見えられて、『言の葉遊学ご近所の博物誌』(白泉社文庫)を手渡された。なぜかというと、この解説が蟲文庫田中美穂さんで、蟲文庫の存在を知ったのが拙著『女子の古本屋』だったというんです。田中さんは元からわかつきさんの読者だったそうで、縁はつながるわけです。もう一つ、『女子の古本屋』で言えば、金沢で古本屋「NYANCAFE-BOOKS(ニャンカフェ・ブックス)を始められた、たなかあけみ・りんだという女性が挨拶に来られて、やはり『女子の古本屋』に影響されて開店されたとのことでした。ひごろ、心細く、洞窟でローソクの灯で仕事をしているような気分でライター稼業をやっている身としては、いやあ、いろんなところで役立っていると思うとうれしいです。
打ち上げでは、札幌市中央図書館の司書をされている本間恵さんと邂逅。ナンダロウくんの誘い出しで、みなさんの前で『海炭市叙景』映画化、と小学館文庫収録のニュースを。金子彰子さんのブログにくわしいが、本間さんは、小学館文庫化の後押しをされた佐藤泰志応援団の一人。ひごろ遊星のように巡っている本好きが「一箱古本市」というビッグイベントの磁力に引き寄せられた感じでありました。しかし、ここでも元気なのは女性という印象。対抗できるほはただ一人、五つ葉文庫くんぐらいではないか。
そうそう、古本ユニット「カネコウノ」のコウノから、相対性理論の新譜アルバムを焼いてもらった。これ、聞いてます。さんきゅう。
今日はいまから少し仕事をして、すぐまた千駄木へ。古本カフェ「BOUSINGOT」にて、1時から、世界初の「うさぎと古本」というトークをうさぎ博士の松本典子さんとやります。まだ若干の空きがあるようなので、当日でもいらしてください。ではでは。


BOUSINGOTでの松本典子さんとのトーク、終わりました。松本さんの知人友人がたくさん詰めかけて下さり、大入り満員。松本さんとは、わざと事前の打ち合わせをせず、ぼくも松本さんのこと、あんまり知らないまま聞き役に徹しました。高円寺で写真館を営んでいたモボの祖父、化粧品の瓶などのデザインをしていた父親など、ビジュアルセンスの濃い血が松本さんに流れていたことを知る。小学生の頃から古本屋へ通い、すでに旧かなを読み書きできて、高畠華宵の絵にうっとりするという特異な少女時代など、驚くべき過去が判明。10年以上取り続けている和歌山の山奥の美少女の写真がパネルで展示されていたが、なんとも言えずいい。木造の校舎から手を出し、不意の雨を受け止める写真など、はっと息をのむ美しさだ。
客席に中公文庫編集部のMさんが来ていたので、松本さん編で来年に向けて「うさぎ」文学のアンソロジーを作るよう進言しておく。来年はうさぎ歳なのだ。
帰り、しのばず通りを走るバスで山手線内側をぐるりとまわって早稲田へ。歩いて、早稲田古本屋街を抜ける。半分以上の店は閉めていたが、ビッグボックスで古本市が開かれていることを知り、覗いて帰る。
ガルシア=マルケスほか『美しい水死人』福武文庫、中井英夫『人形たちの夜』講談社文庫、阿木翁助『青春は築地小劇場からはじまった』教養文庫仕入れとして買う。