コクテイル、行ってきました。

okatake2010-03-29

昨日は、コクテイルへ行くぞ、と心に誓って、夕方外出。荻窪「ささま」経由でコウエンジ古書会館。
「ささま」では均一でいいものを拾った。ぼくの大好きな、思潮社真鍋博装幀の「現代日本詩集」シリーズ、会田綱雄『狂言』だ。「キツネ」の連作が入っている。一つ引いてみようか。
「七月のキツネ:
「キツネのままでは/どうしても死にきれませんといつて/なみだをながすものだから/それではと/ホタルにしてやつたが/もう飛ぶ力もない/虫かごに入れ/草をあてがつたり/霧をふつかけたりしているうちに/かすかに光つたので/「光つたぞ」/といつてやると/もういちど光つたが/つかのまだつた/ひからびたなきがらは/赤い色紙につつんで/川へ流してやつた」
こども向け講談社世界名作全集の『名探偵ルコック』も、同シリーズでみつけたら、まず買わなければいけないのは、著者が江戸川乱歩だからだ。原作・ガボリオとあるが、この手の少年ものは、日本で大胆にリライトするのが通例。これは乱歩。ただし、ほんとうに乱歩が手がけたかどうかはわかりませんよ。函に傷みがあるから105円なのだろうが、状態がよくて出るところへ出れば、たいへんな値段になります。といっても5000円くらいか。なかでは、榊原和夫写真集『日本の作家』を買った。野坂がいちばん若いくらいの作家たちの写真。
高円寺即売会では終わりかけ一時間ぐらい。冬樹社「異装叢書」の熊坂敦子編『岡本かの子の世界』もあまり見ないなあ、これがカバーが汚れ傷みありで、350円。ついている値の半額棚、というのが、これはぶっくす丈さんが始めたのか、今回も数店がやっていて、常田さんの棚から岡本太郎(といっても岡本かの子と関係ない同姓同名)『須賀敦子アッシジと丘の町』河出、これが400円だったか300円だったか。ほか数冊。札の計算を、S書房さんが、三回やって、三回とも違っていて、みたいなことを帳場で喋っていた。おもしろい人だなあ。
「ナジャ」で本の包みを開きながらコーヒーとジャズ。最後にかかったギターのマーティン・テイラーがよかった。こいつを「デ」で探そう。
そして昨日開店した「コクテイル」へ。あずま通り店の建具をそのまま生かしてあるのと、花が飾ってあるからわかったが、看板も何もかかっていない。あいかわずだなあ、狩野くん。しかも入口は、左路地へ入った角という、わかりにくいもの。
しかし、中はうなぎの寝床式に奥が深く、手前に茶室のような広さの小上がりがあり、広くなった印象。天井が高く、がっしりした木の梁が見える。カウンターに一番乗りで座り、高田渡を聞きながら、二時間ほどハートランドを飲み、忙しそうに立ち働く(たちまち10名ほどの客がきた)狩野くんのやつれを心配しつつ、店をあとにする。いい店になったなあ。しかし、看板ぐらい出さないとなあ。
外へ出たら、猛烈に寒く、中央線のホームで凍える。