下北沢ざわざわ

okatake2010-03-14

昨日は、夜が下北沢「ラ・カーニャ」で田川律さんと大塚まさじさんのライブと決っていて、それにあわせて動く。あったかくなるのがわかっていたので、思い切り軽装ででかけたら、夜は少し寒かった。
下北沢では移転、新装オープンした「古書ビビビ」へ行くつもり。その前にひさしぶりに池ノ上で降りよう。「古ツア」さんも書いていたが、意外といっていいほど古本屋が集まっている町だ。線路端の「文紀堂」はシャッターを閉めているのが見えたのでパスし、南へ。「由縁堂」は、ずいぶん前に来てる。最初に勤めた雑誌社で、表紙を書いてもらっていたイラストレーターの仕事部屋がここにあり、何度か原稿をもらいに来た。そのたび、由縁堂へ寄っている。古い木造の、奥が深く、演芸本が充実した古本屋だったが、いまは、新しい建物にたてかわり、店の規模は半分くらいか。詳細は、「古ツア」さんの記事を見てもらうのが一番いい。
その先、ずっと下り坂になっていて、淡島通りにぶつかって左へ行くと「月光堂」がある。「日本の古本屋」にも加盟している店なので期待して行ったら、雑多なリサイクル店になっていて本はなし。行きと違う道を駅まで戻る。ここいら、代沢は高級住宅地。古いお屋敷ふうから、注文住宅の立派な家まで住宅の見本市みたい。あたりをはらうカラフルな新築の住宅があったが、船越と表札にあり、おそらく船越栄一郎さんの自宅ではあるまいか。
駅を超えて北へ「山の手文庫」と「十二月文庫」はほぼ向かい合わせにある。「山の手文庫」は、一目で、半分の通路を横積みの本が支配し、なかへ入れる状態でないとわかる。「十二月文庫」は、女性の古書店主の店で前から気になっていたが、迷路のような本棚に並ぶ本は本格的、というか見応えが十分ある。ここで石子順『日本漫画史』教養文庫宇野浩二『文章往来』を買う。買える店だ。
そのまま駅に戻らず、くねくねとしばらく歩くと、うまくスズナリの脇に出る。かつて、角にあった「ビビビ」が「ディスクユニオン」の隣りに移転。ガラス戸つきの均一が4、5本店頭に出ていておもしろい。店の大きさは、以前の三、四倍はあるか。若いお客さんがたくさん。ぶちぬきの音羽館みたいで、みんな友達同士、わいわい喋りながら古本を楽しんでいる。いい雰囲気。写真集のいいところから、文庫やマンガまで、きっちり選んだ品揃え。ああ、こういう店をもとからやりたかったんだろうな、と納得する。国鉄コントを集めた新書『機関士物語』と、昭和43年の「中一コース」を買う。
ディスクユニオン」でジャズを二枚。ソニー・クリス「go man!」と、ジョニー・グリフィン「WAY OUT!」、どちらもワンホーンによる名盤。このあと「ほん吉」へも寄って、300円均一で西東三鬼『神戸・続神戸・俳愚伝』出帆社堀江敏幸『バン・マリーへの手紙』岩波を買う。うーん、どんどん買えるな、下北沢。もちろん「幻游」へ寄らない手はない。東京でも有数の「買える」店だとぼくは思っていて、この日も建築写真文庫『門と前庭』、和田誠『3人がいっぱい 1』、正津勉谷川俊太郎『対詩』、ピエール・ガスカール『シメール』、海野弘『映画、20世紀のアリス』を格安で買う。あんまり安く買ったからか、勘定のとき、店主がいちいち、本をひっくり返してみたり、いろいろ点検してから計算していた。
下北沢、ときどき来なくちゃいけないな、と思う。
「ラ・カーニャ」は地下のライブハウス。初めて来た。「雲遊天下」編集長の五十嵐君が田川さんとすでにスタンバイ。挨拶して席を取る。早く来てよかった。あと、詰め詰めで場内あふれるほどの客となる。大塚まさじさんとは初めて挨拶させてもらう。「京都で『ディラン・セカンド』をやっているのは、ぼくの弟です。いつもお世話になっています」と言うと、「なんや、似てる人がいてるなあ、と思ってました」と握手を求められた。傍らにいたギターのテツヤさんが「あ、シーちゃんの」と言ったのは、うちの弟が「シーちゃん」と呼ばれているからだ。
ライブはなごやかに、春らしく温かな二時間だった。田川さんが童謡まで歌うおまけつき(それがメイン、と大塚さんは言っていたが)。こんどは、弟の店で大塚さんの歌を聞いてみたいもんだ。
今日はいちにち、仕事をします。