朝のできごと

okatake2010-02-11

朝、TBSラジオを終えて帰宅。「羽鳥書店」ひとり古本市へ行くつもりで、準備をして出たが、風邪の調子が思わしくなく、外はたいへんな寒さで、大事を取って帰ってきた。土曜日あたり、覗きにいこうかと思っている。
忘れずに書いておく。今朝、JTBパブリッシングの「旅訳文庫」『樋口一葉たけくらべ」』を紹介したのだが、スタジオ入りする前、森本(毅郎)さんが「ちょっと見せてください」と、本を手に取り、「たけくらべ」を朗読し始めた。こうして声に出してよむと、じつに一葉の描写が細かいということがわかりますね」とおっしゃる。続いて「『梨の花』を書いたのは誰でしたっけ」「中野重治です」とぼくとの会話があって、以下、NHK時代のエピソードを。「私の本棚」という名作朗読の番組があって、当時室長だった森本さんが『梨の花』をやろうと提案。誰が読むか。NHKで朗読の名手と言われた平光淳之介さんに『梨の花』を手渡す。一週間ほどたって、平光さんが「これは私には無理だ」と言う。コトバや文章が難しい、というのではない。『梨の花』の背景にある風土がどうしても自分のなかで表現できない、というのだ。「平光さんがダメなら、NHKのアナウンサー、ほか、誰がやってもダメですよ」と森本さんが、宇野重吉に頼みに言った。宇野重吉という名前は「中野重治」の真中の二字をもらっている。「ふふーん、これですか」と宇野さんが受取り、じゃあまあやってみましょうと受け取った。一週間だか一カ月だかがたって、宇野さんがスタジオに現れたのだが、『梨の花』の舞台となった福井まで自腹を切って旅行してきたという。ふらっと自然体で(このあたり、森本さんが宇野さんのものまね入り)スタジオに入り、まったくとちりなし、録り直しなしで収録を終えた。完全に自分のなかに作品を取り込んでいたのだろう、と森本さんは言う。「断った平光さん、引き受けた宇野さん、どちらも見事だった」と。いい話だった。あわてて、放送原稿にメモしたぐらい。
今朝は行きも帰りも、これまでのレコードとなる早さだった。朝、6時半に家を出て、局に着いたのが7時過ぎ、35分くらいで着いた。帰りもスイスイで、いつもは吉永みち子さんの悩み相談を聞きながら家に着くのだが、今日はその前の宇津木デスクの芸能ニュースの際中に着いた。
これから、少し寝ます。

午前中寝て、午後また眠る。外は冷たい雨らしい。なすところもなく2月が駆け足で過ぎていく。
「CAVIN」に書いた漱石の「門」論のゲラに手を入れて、大阪の中尾さんに送る。論というよりエッセイだが。とにかく書けてよかった。
このところ、「古ツア」さんに影響されて、都内のあちこちの駅周辺古本屋マップを勝手に作成している。石神井公園から上石神井を廻ったのはその成果による。ぐーぐるマップに地名と「古本屋」と打ち込んで検索すると、地図入りで、古本屋のある場所が指定されて出てくる。行っていないところがずいぶんあるなあ、という印象。東武東上線では「みずほ台」「上福岡」「志木」などに、けっこう集まっている。西武線「新所沢」も廻り甲斐のある町。青春18の季節に、横浜線「ブ」巡り各駅停車の旅ツアーも考えている。「彷書月刊」ラストのカウントダウンが始まっているので、なるべくいろんなところへ行きたいと思うのだ。