サバイバルに自信なし

okatake2010-01-27

朝、早起きして、ちくま文庫に入る嵐山光三郎昭和出版残侠伝』解説を書く。5枚くらいの短いもの、といっても、それなりに苦労した。
ビッグイシュー」には、川端康成『みずうみ』新潮文庫について書いた。
歯医者通いが続いていて、今日、前歯2本を入れる。セラミックかな、白い、見た所ほんものの歯と見分けがつかない。これで麺類が食べやすくなった。しかし、差し込むとき、歯茎にくいくいと食い込み、いたい、いたい。目尻に涙がたまる。
待合室で読んでいた「本」(講談社PR雑誌)2月号がおもしろかった。平田俊子の単発エッセイ「坂道の怪」は、ちょっと手を加えれば小説になりそうな世界(小谷野敦私小説のすすめ』を読んだところ、ということもあるが)、佐伯一麦「十一年」、井上章一「ふんどしの力」、立川駅の鉄っぽい考証を書いた原武史「駅の記憶」など、いずれも視点がおもしろく読ませる。
午後、仮眠(と言いながら3時間近く寝た)を取り、次の書評用、パット・セイン 木下康仁訳『老人の歴史』東洋書林を読み始める。500ページ以上ある大判の分厚い本で、宙に持ち上げて読むと手がくたびれる。図像が多いものの、読むのもくたびれそうだ。
朝日新聞」夕刊で5回連続のシリーズ記事「出版サバイバル 2兆円割れショック」の3回目を切り抜きスクラップ帳に貼る。2回目、茨城県の山間部にある大子町は、「読書のまち」宣言をしたのに、町でたった一軒の本屋が廃業することに。「読書のまち」に本屋がないなんて。文具店を営むご老人が、「私がやるしかない」と、奥の事務所スペースを改造して本屋を開いた、という。全国で、この10年で6403の書店が消えた。書店減少率の高い上位5県は上から和歌山、山口、佐賀、秋田、大分。和歌山ではこの10年で半減した。和歌山県の書店数は現在たった137軒。和歌山県の人口は約100万だから、7300人につき1軒ということになる。しかも、おそらく都市部に集中しているだろうから、書店が一軒もない町や村がたくさんある、ということだろう。
こうなると、売れるもの書きと売れないもの書きの格差がどんどん広がっていく。売れる本だけが売れるからだ。10年後、果たして、この仕事を続けられているかどうか、はなはだ心もとない。
文春ムックの落語本「今おもしろい落語家ベスト50」のアンケートに答え、その謝礼として特製の落語家似顔絵のついた図書券が3枚(3000円分)届く。ちょっとうれしい。ちなみにイラスト担当は伊藤理佐。左から喬太郎談春、昇太。誰の似顔絵が届くかわからないということだったが、当代一の人気者という組み合わせとしてはいいのではないか。