文學ト云フ事

今日は寒かった。全世界的に寒波にみまわれ、欧米、中国でも積雪。
今年初の「あった、あった。」は1977年臼井吉見『事故のてんまつ』を。ガス自殺した川端康成が死にいたるてんまつを、半月前に、執拗に乞われて女中となった十代の娘を語り手に小説のかたちで暴いている。これは部落差別問題にもかかわるため、川端家から提訴され、臼井が謝罪した末、絶版となっている。しかし、ベストセラーとなったため、いまでも入手困難、というほどではない。100円とかでよく見る。
川端のことをずっと考えていたわけだが、ちょうど94年から半年、フジテレビで放送された「文學ト云フ事」の総集編を録画したビデオが見つかり、ひさしぶりに見る。日本の近現代小説を、三分ぐらいの、映画の予告編に見立ててドラマ化したもの。当時、楽しみに見ていた。毎回、かならず「恋はあまりにも○○だった」というフレーズが字幕で入る。
深夜11時台に放送されていたので、見終わると12時近い。しかし、それを見たら、急にその作品が読みたくなる。高円寺に住んでいたので、部屋にない本は、何度か「文庫センター」へ探しに行った。紹介された作品を書いておこう。けっこう、ユーチューブでも見られるようだ。
1友情 2三四郎 3みずうみ 4人間失格 5雁 6蓼喰う蟲 7オリンポスの果実 8蒲団 9箱男 10野菊の墓 11斜陽 12美徳のよろめき 13夢十夜 14老妓抄 15朝雲 16青年 17或る少女の死まで 18浮雲
朝雲」だけ作者がわからないのではないか。川端康成少女小説昭和16年の作。新潮文庫『花のワルツ』に所収。ちょっと読んでみたが、女子校に赴任した若い美人教師に、憧れ以上の思いを抱く女子学生の物語。「文學ト云フ事」ではこの女教師を緒川たまきが演じて、まさにうってつけ。緒川たまきは、このほかの作品にもけっこう出演。お笑いの日村が若き姿で出演していたり、少女時代のともさかりえを拝むこともできる。今度の「ネギシアター」でどうかしらん。