改行すると半角ブランク

ぼくはパソコンで原稿を入稿しているが、それが縄文期みたいな使い方で、ただワードで横書きで原稿を打ち、ファイル保存して、原稿をコピーペーストして、メールの画面に貼付けている。ところが、その際、メールの画面にペーストされた原稿が、ズラズラと棒うちになり、最初にワードの画面で書いたときの字数揃えの改行部分が、すべて半角空きになってしまう。たぶん編集部では、それをまた字数を揃えて、半角空きを手作業で埋めてもらっているらしい。ある人から「おかざきさん、半角空きになっているんですが」と言われたこともある。しかし、どうすればいいかわからない。長い原稿だと、これが大変な手間になるだろうし、どう解消していいかがわからないのだ。
今日、続けて電話あり。なんだか、いろんなことが動き始めたようだ。明日はサンデー毎日が一日早まり、都心に出る。ぼくにとっての初出勤なり。年賀状はまだまだ届き、ついに190枚近くになる。パソコンでプリントした画面が圧倒的に多く、自筆では一言も書き添えていないものも多い。忙しいから仕方ないが、ちょっと淋しい。ぼくは手書きで二種類作って、それをコピー機で量産するやりかた。しかし、ついにトナーが切れて、ここ数日返信したのは、一部手描き。まあ、好きなんでしょうね。
今日は車で妻と吉祥寺へ出る。無印がまだ開いてなくて、「ブ」のほうへ流れると、久住兄さんと出会う。「おや、こんな時間にこんなところで」と言われる。11時前というのは、この業界では朝だ。みうらじゅんとの対談『正論』は爆笑しました、と伝える。このあと無印では、にわとり文庫夫妻に逢う。
昼はロンロンのそば屋でカレー南蛮定食をたべる。
「紅白」の裏番組で何をやればいいか? という週刊誌のアンケートで、みうらじゅんが「大脱走」と答えていて、震えるほど感動したことがあったが、『正論』でも、久住兄とその話をしている。むかし、テレビで年の暮になると「大脱走」が放映され、それを家族で観るのが行事になっていた。
久住「あれには、俺達の人生に植え付けられた何か大切なものがあるよね」
みうら「『観た!』とかじゃないんだもん『また、やる!』」
久住「そうそう。今って何でも観られるからね。当時は何回も観るとか、一日に二回続けて観るとか、できないもん。もうコマーシャルの時には弟と競って便所行くんだから(笑)。『早く出ろ!』とか言って、電気付けたり消したりして。中で『しょんべん、こぼれる』とか」
このあと、買いたての英語の辞書はわざと汚したとか、英語の辞書の側面に自分でABCと索引をつけるが、途中とばしてしまって台無しにした、とか細かいネタが続く。
CSで宮部みゆき原作、大林宣彦監督「理由」を観る。2時間45分の長丁場を飽きずに観る。なにしろ登場人物がやたらに多くて、事情がからみあって、下手すると何がなんだかわからなくなるが、そこをうまい配役と、画面処理で難なく見せていく。やっぱり大林監督はいい職人だ。時代小説評論家の縄田一男さんが、一シーン、出てましたね。古手川祐子は最後のほうまで気づかなかった。ええ、これがそうなの? という感じ。永六輔が意外にうまい、とか。
前も書いたかもしれないが、宮部みゆき『平成お徒歩日記』のなかの一ページに、丸々ぼくの書いたコラムが掲載されている。