平和な師走

okatake2009-12-29

いい天気。娘と自転車をこいで、昼飯は行列のできるうどん、立川栄「ブ」、砂川「ブ」と巡る。上水沿いの小径が気持ちいい。
セルフのうどん屋は超繁昌店だが、店員の年齢がおそろしく高い。しかし、みなさんよく働く。なかに一人、化粧のケバ目の若い女性がいて、うどんを湯からあげ、並のサイズを手でどんどん作っていく。「釜揚げ3つ」と言われたとき、眉がきりりと上がったのを見逃さなかった。娘もそれを見ていて「怖いねえちゃんやな」。うどんを食べながら、「けどな、仕事が終ってコンパへ行くと明るくて、めちゃくちゃよく笑うんや。ああ見えて苦労していて、子持ちのバツ一や。10代で結婚したけど、旦那がワルい奴で」と勝手にヒトのストーリーを作りあげて喋る。娘はそれを聞いてケケケと笑う。
立川栄はまあまあ、砂川「ブ」でびっくりぎょうてん。まず『須賀敦子のフランス』、たぶん「ブ」では初めての平凡社「モダン都市文学」の「都市の幻想」、あれあれ『少年探偵団読本』がある、河出の「らんぷの本」が4冊あって『昭和を生きた道具たち』ほか、五歩一勇『シャボン玉ホリデー』、一時ゾッキに流れた弥生美術館編の『少年少女ふろくコレクション』と、あわててセルフカゴを途中で取りにいき、バカバカと入れて、文庫を含め15冊を買う。ビデオの棚でも小津安二郎が5、6本、250円で。これは買わず、ジャック・タチ『ぼくの伯父さん』を300円で買う。いちばん大きな袋に入れてもらい、自転車の前かごがずっしり重い。こんなこともあるのか。
文庫で驚いたのは、朝日文庫。『「日米会話手帳」はなぜ売れたか』は1995年に出て、現在品切れだが、あの戦後まもなくに出て、数ヶ月で300万部を売ったという神話的ベストセラーの全頁を復刻し、識者たちの回想を付した逸品。なぜ、これにいままで気づかなかったか。じだんだ踏んで悔しがりながら、あわてて買う。未所持の方は、これから文庫の棚で、まず朝日文庫を探してください。