東京漂流

okatake2009-12-18

この数日を振り返ると、まあ、いろんなことがあった。
15日(火)は夕方から下高井戸「日大文理学部」で講座をもっている、学事出版Hさんからの依頼で、学生相手に90分ほど喋る。下高井戸へは、井の頭線浜田山で下車し、踏切を渡った三角公園前から出る「すぎ丸」に乗る。これで3路線すべてを制覇した。
高井戸駅周辺を歩くのは初めて。駅前に「豊川堂」という古本屋がある。ここがよかった。「彷書月刊」に書けそうだ。Hさん、学事出版の編集者でぼくの担当のMさん、ほか学生有志と一次会、二次会と。いまどきの大学生、なんて言うけど、みんな素直でまじめそうな男子ばかりだった。
16日(水)は夜にスタンバイの忘年会、トラキチ忘年会があり、翌朝がラジオ出演だったのでTBS前のホテルをとってもらう。これで安心して都心で飲める。ほんとうは夕方まで都心をうろつこうと思ったが、どうもその元気がなく、青山一丁目から裏筋をくねくね、坂を上り下りしてホテルへ。ロビーも部屋も狭いが、まだ新しく清潔でデザインもいい。見たことのない透明なカプセル型のシャワー室。シャワーを浴びて、ベッドに寝転がって五味康祐薄桜記』を読む。半日ごろごろと都心のホテルで、本を読むというのは、とてもぜいたくでいい気分だ。
夜の忘年会二つをこなす。トラキチの方には、年末に広島から古本屋の店員(ゆくゆくは自分の店を)になりたくて上京してくるMさん(大手チェーン書店員)を招き、みんなに紹介する。誠文堂新光社へ移った、元晶文社営業コンビの目春さん、高橋さんのお疲れさま会でもあった。最後のほうになって、やっと阪神の来年の展望を。鳥谷がそんなに人気がないとは思わなかった。城島はみんな歓迎していない。みんな阪神を熱く語るなか、ぼくは阪神ファンだが、どうでもいいんだなあ、と熱狂のなかで初めて気づいた。それほどのファンではない、ということだろうか。
17日(木)朝、TBS。今年、同番組で紹介した本のなかからベスト3を発表。視聴者プレゼントは、安野光雅『明日香村』NHK出版。昨晩のトラキチにちょうど、初対面のNHK出版の販売部、Kさんがいて、そのことを告げると、「おお、それはありがとうございます!」と言われる。これはほんとうに偶然なり。
ベスト3は、3辻井喬『叙情と闘争』、2山田宏一和田誠ヒッチコックに進路を取れ』、1中川六平『ほびっと』。
放送が終り、ほんとうは帰宅する予定だったのだが、昨日、ケータイに電話があり、「サンデー毎日」Iさんから急きょ金曜日を木曜日に振り替えてほしい、と言われ、また都心で滞留することになる。とりあえず飯田橋へ。ドトールで時間をつぶし、「ギンレイ」で「湖のほとりで」を観る。湖のほとりで発見された若い女性の全裸死体をめぐり、乗り込んだ老刑事の捜査により、容疑者が増えていき、それぞれの人間の内部が明らかにされていく。
サンデーを終え、ようやく帰途につく。西荻でちょっと下車。音羽館、興居島屋をなぞるように見る。興居島屋で澄ちゃんが、ちょっとおもしろいものが、こんなのどうですか、と見せてくれたのが、名刺半分くらいのサイズのモノクロ写真6点と所有者の昭和17年のハガキ。帝国女子医専寄宿北斗寮の岸伊佐子。澄ちゃんが検索したところ、谷崎潤一郎が引っかかってきたという。岸伊佐子らしい女性の写真もあるが大変な美人。これを500円で譲ってもらい、パソコンで検索すると、小谷野敦さんの谷崎潤一郎詳細年譜がヒットして、この一点だけなのだが、ふむふむなるほど、と納得。
もう一つ、興居島屋では東日天文館えはがき2点を買う。
筑摩から出す本に使えそうだ。
それから、みちくさ市で買った上山元市という人の戦前の海外渡航アルバムから、思いがけない展開があった。これは、また後日、報告します。
いやあ、古本って本当にいいものですね