『一箱古本市の歩きかた』を全面支持

okatake2009-11-13

今日は寒い。そして雨だと思って傘を持って出たが、ささずに帰ってきたら夜に雨。
月二回の長い集中力を要する原稿をなんとか上げ、朝、早起きして、今日インタビューする中村安希さんの『インパラの朝』をなんとかメモを取りながら読了。すぐに支度して神保町へ。集英社応接室でインタビュー。実物もきれいな人だった。三重出身ということで、ハルミンさん、魚雷くんの話をする。関西弁での取材となる。
「コミガレ」で、小野十三郎『最期の木』ほか3冊を買い、南千住へ移動。東部古書会館泪橋即売会を覗こうと思ったのだ。これが3度目か。ぼくは初めて。前々回かに、同じ日の西部古書会館にいると、すでに泪橋を覗いた客が来ていて、本が少なくて話にならない、みたいなことを言っていたが、今回は本を増やしたらしく、いやあ十分楽しんだ。ナイロン袋にどっしり買って2000円強。駅前の大島書店へも行った。このことは、ミクシィにでもしっかり書いて、「彷書月刊」の連載分では納まらない増補として残しておこうと思う。
東部古書会館から南下、新川町あたりにビジネスホテル、簡易旅館がひしめきあっている。つまり、ここいらは昔山谷と呼ばれたエリアだ。昼間から、スーパーのレジ袋を提げた、老人たちがふらふら歩いている。玉姫公園は、「あしたのジョー」に出てくるドヤ街の公園のモデル。ここもブルーシートのホームレス宿になっていた。
バスで上野へ出て、帰宅。
南陀楼綾繁さんの新刊『一箱古本市の歩きかた』光文社新書が届いた。ぼくも間違えたし、ほかのみなさんも間違っているが、「歩き方」ではなく「歩きかた」だ。
ぼくは、いろんなところで、古本や読書の話をするとき、かならず「一箱古本市」について触れる。本離れ、なんて簡単に言うが、それは今までの書籍の流通システムの制度疲労で、本はじつは人の手に届きたがっているし、読まれたがっている。それを届かすシステムを作ることを業界人は疎かにした。「一箱古本市」がその有効な突破口になることは、これまでの成果を見て明らかだ。それを無償で始めて、全国に伝播するよう努力しつづけた南陀楼さんは、ほんとうに偉いと思う。今回の本はそうした積み重ねの「ご褒美」だと「あとがき」に書いているが、そのとおりだと思う。
ぼくの名前がけっこう登場するので恥ずかしい面もあるが、恥ずかしがっている場合ではない。全面的にバックアップするつもり。
発売を記念して、あちこちでトークショーや関連イベントをするみたい。みなさん、チェックください。
http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/
もう一冊、すごい本が届いた。『徳川夢声の小説と漫談これ一冊で』清流出版。夢声のユーモア小説を掲載し、漫談をCDに収録。解題はハマダ研吾くん。(浜とも濱とも違う漢字で表記できない)。ハマダくんによる巻末の著作目録がまたすごい!
夜、BSで上方演芸会をやっていて、若手から中堅の漫才を見る。長らく上方の現在の演芸から遠ざかっていて、みな、初めて見る者ばかり。一番肌に合って笑ったのが藤崎マーケット。突っ込みの方が実家に帰って、というネタで、片方が犬になる。「おすわり」「お手」と続けて、「チンチン」と言うと、犬が照れて「下ネタですやん」「犬がしゃべるな」というのがおかしい。ときどきオカンが登場するのもルーティンながら笑わせる。
ほかでは、トリをとったテンダラーの右側の喋りの達者さに驚く。すでにその気味はあるが、もっと狂気を帯びてくると、これはけっこうすごいコンビになるのではないか、と思わされた。やっぱりお笑いはおもしろい。