おひさしぶり「メグ」でドカンとジャズを

丸二日遊んだつけがひびく日々。午前中、妻と銀行に出向き、住宅ローンの借り換えの手続き。たくさんの書類が必要となるが、すべて妻まかせ。なんにもできないぼくだった。数字をたくさん見せられて、それが105円単位を大きくはずれるため、何がなんだかわからない。ただうなづいているだけだったが、終ったらドッと疲れる。あと12年でなんとか返済。それまで7、8年住んでいたマンションに払った家賃を、もし最初からつぎ込んでおけば、あと数年で返済になっていた。そんなこと今更言っても仕方ないが。
午後から、秋に出る恒例の「神保町ガイド」(毎日新聞社)の取材。「おに吉」カラー版として、6ページをもらった。昨年は下北沢を一緒に回ったカメラマンのMくんと、一年ぶりに仕事。「ささま」前で集合。30分前に着き、ごそごぞと抜き出す。いつも顔を合わせているノムラくんに、あらためて取材みたいな(といって取材だが)質問をするのが照れる。「岩森」さんでは、中央線の古本屋の古い話を。以前はよく、といって20年以上前の話だと思うが、中央線から見える岩森に夜、明かりがついていると、電車に乗って帰宅するサラリーマンが途中下車して、明かりに引き寄せられるように店に寄っていったものだ、という。先代の岩森さん(いまの店主の父親)は、52歳で急死されたという。そのとき、息子の岩森さんは大学生だった。岩森さんは、いま、古書組合の理事で、秋の古書の日、そして来年4月、「おもしろいこと、やりますよ」と繰り返していた。岩森の奥のコーナー中央にあるガラスケースに、ビクターの首をななめにした犬の陶製の人形があります。ぜひ見てください。ぼくは今回、初めて気づいたな。もちろんMくんに写真に撮ってもらいました。
このあと吉祥寺「百年」へ。吉祥寺は微妙に休業日がずれていて、火曜休みの「百年」をこの日に。いつも感心するのは、棚が……あ、このへんのことは原稿で書きます。秋、「神保町ガイド」お待ち下さい。
この日の取材を終え、どこか喫茶店でお茶でもとMくんを誘い、どこにするべかと、思っていたら、そうだ「メグ」だ。Mくんとは昨年の下北沢取材の打ち上げで「マサコ」へ入った。Mくんも大のジャズファンなのだ。「メグ」はひさしぶり、とMくんも言う。ぼくも2年ぶりぐらいか。行くと、注文のシステムが、昼はランチタイムで、飲み物と食べ物を組み合わせて注文するようになっていた。アイスコーヒーとサンドイッチで1000円。たしかに、そうしなければ、やっていけないだろう。ひさしぶりに大朝顔のラッパスピーカーから、すごい音量で聞く。隣りの席の若者二人がずっと喋っていて、そんなに喋りたかったら、ふつうの喫茶店へ行けばいいだろう、と思うが、ジャズ喫茶というものを知らないのかも知れない。やっぱりこれは気になった。「メグ」はおしゃべりOKになったというが、それでもねえ。渡辺香津美が、スタンダードをドラムとベースのトリオで演奏した新譜がかかって、これがよかった。もう少し聞いていくというMくんを残し、お先に帰宅。お金を払う時、「ずいぶんお久しぶりですねえ。また来てください」とマスターに言われる。よく覚えているなあ、と感心した。
「メグ」でジャズを浴びて、ああ、この感じはいいなあ、特別だなあと思う。またひんぱんに寄せてもらうことにしよう。アボガドの入ったサンドイッチはばつぐんに旨かった。
これから朝まで仕事をします。