追加であれこれ紹介

okatake2009-08-19

いつぞやここで紹介した、一ツ橋学園に新しくできた古本屋「佑夢(ゆうむ)」、さっそく古本屋ツアーインジャパンさんが訪ねて8月17日分で報告してくれている。いやあ、まさしくそういう店なんだよね。なぜこんなに細かくリアルに再現できるのか、まったく不思議だ。頭のなかにビデオがあって、録画して再生する能力があるとしか思えない。
http://blogs.dion.ne.jp/tokusan/
忘れていましたが、亀和田武坪内祐三『倶楽部亀坪』扶桑社、をいただきました。例によって、どうでもよくないことはもちろん、どうでもいいことまであれこれ知っている坪内脳の炸裂だ。「堤清二って髪の毛、黒いんですよ。あれは、塗ってないの、七十七か八なんだけど。堤義明のほうが年全然下なのにちょっと老人ぽい気がする」という、ほんとうにどうでもいいようなことから入り、セゾン文化を称揚する。「今の三十代から四十代までのクリエーターでセゾン文化によって育った人は多いと思いますね」。セゾン系やリブロから世に出た人として、永江朗車谷長吉保坂和志の名を挙げ、「かなり個性的な人たちが多いよね」。そういや、日月堂さんもセゾン出身だ。
ぼくが一字を与えた編集者、大阪140Bの大迫(武)力くんから、バッキー井上『京都店特撰 たとえあなたが行かなくとも店の明かりは灯っている』を送ってもらう。祇園から新京極、河原町と、若い日から京都を遊び尽くした著者による、京都の店ガイド。「キャラメルママという、なんだかなぜだか荒井由実だけのバー」という章では、弟の店と弟のことが紹介されている。ありがたい。「キ」は、いま河原町三条上ル二筋目を東に入った右、にあるが、以前は近畿会館という飲食ビルにあった。「中華料理の『ハマムラ』の筋を東に入ったところ」とバッキーさんが書いていて、そうだよなあ、と憶い出したが、こないだ京都へ帰ったときは「ハマムラ」がなくなっていた。あの「ハマムラ」がなくなるなんて。この文章のなかで弟はバッキーさんに「戦後人生」と呼ばれている。古いことをよく知っていて、戦後に生きた人みたいだ、という意味だろうか。「俺は、戦後人生の酒場で飲んできてよかったと思った。『キャラメルママ』でも『ディランセカンド』でも俺のウイスキーのボトルがきれることはない」という締めまで、愛情あふれる紹介だ。バッキーさんありがとうございます。って、プロフィールみると、59年生まれで、ぼくより二つ年下だ。まあアラヒフで、同世代。本業は錦の漬物店「錦・高倉屋』の店主。こんど、京都へ帰ったら、「高倉屋」で漬物を買おう。
ほか、柘植文の『野田ともうします』(講談社)というマンガがいかにおもしろいか、を書こうと思ったが、元気がなくなっちゃった。朝日で南信長が紹介して気になっていたのを昨日やっと買った。それで、やっぱりおもしろかった。「今どきでない女子大生の生態」を描くギャグマンガ



古書現世の向井くんからもらった招待券で、ラピュタ阿佐ケ谷で初めて映画を見る。同じ中央線沿線なのに、初めて。それはぼくがひどい出不精だからだ。自分からアクションを起こすことがほんとうに少ない。これでも少しはアクティブになったほうだ。
窓口で整理番号と、見る映画を確認され、待合室で待機するというスタイル。地味なおじいさん、おばあさんに混じって若者がちらほら。ようやく5番ずつ番号を呼ばれて入室。
48席という、ほとんど試写室のような空間だ。階段でT書店のSさんを見かけ、声をかける。そうか高円寺Tも阿佐ケ谷の千章堂も休みだ。
小林正樹監督、山本周五郎原作「いのち・ぼうにふろう」を見る。カメラ岡崎宏三、美術水谷浩がすばらしいなあ。ワイドスクリーンで、横長に画面が広がるのを、室内の柱をうまく使って画面を分割している。人物配置もかなり気をつかって、群像をよくさばいている。しかし、主演が仲代達矢でしょう。これはもう、どうしたって、目をむいて、ああいう芝居になるわけで。せっかく勝新太郎を使いながら、勝はうまいが、どういったらいいか、話の流れがもたつくというか重い。こんなふうに思ったな。つまり、これはサイレントにして、セリフは字幕、そして音楽は武満徹のをそのまま使う。そのほうがよかったのではないかと。
しかし、これでラピュタに足がかりができた。遅い回に見て、「よるのひるね」にも寄ってみたい。