多摩ディランさん、拓郎のコピーに興奮

okatake2009-08-03

「美代子阿佐ケ谷気分」を観たあと出逢ったJくんからの御誘いで、昨日は国立カフェ「キャット・フィッシュ」に併設された画廊「エソラ」のブラック・&・ブルース展を見る。「キャット」のマスター関マスオさん始め、複数の画家による、ジャズなどブラックミュージックの世界を絵にしたもの。この夜は、多摩ディランさんのライブがあるというので、ついでに、といっては何だが押し掛けた。
うちは国立の北方、「エソラ」は国立の南、中央線国立駅をはさんで、いま流行りのことばで言えば「真逆」の位置にあり、交通の便が悪い。自転車だと15分。自転車だ。雨のなか、「エソラ」へ駆けつけると、Jくんの姿を発見。Jくんは「蕃茄山人」の名でこの夜のライブを告知している。

http://d.hatena.ne.jp/banka-an/20090724

カウンターのいちばん端に、国立名物、関頑亭さん(山口瞳エッセイではドスト氏)がいらっしゃって、コトバを交わす。嵐山さんの出版記念会が湯島であって、その帰り、マスオさんの車に関さん、海治さん、Jくん、ぼくが乗り込んで国立まで帰った。5、6年前のことか。その車内で、頑翁の語りが抱腹絶倒だったのを憶い出す。どこからそんな話になったのか、むかし、バーの女の子からブラジャーをもらったというネタが、じつにさらりと軽妙に話されて、うーんとうなったのだ。
この夜は、鎌倉時代に遡る関一族の話をされて、頑翁の風貌で話されると、なんだか鎌倉時代から生きておられるような気分になるのだった。カウンターにJくんと席を確保し、いよいよ多摩ディランのライブ。Jくんからは「美代子阿佐ケ谷気分」の撮影話など聴く。
前座の方がビートルズメドレーを。続いてディランそっくりのかつらとサングラスで、ディランの日本語訳コピーを歌う。ビートルズコピーバンドは無数にあるが、ディランのコピーを見るのは初めて。「メンフィス・ブルース・アゲイン」を途中、拓郎「春だったね」に歌い変えたところで、ぼくだけ「ウォー」と雄たけびを上げる。「春だったね」がディランの同曲のパクリであることは、拓郎自身が語っている。じつは、多摩ディランさん、拓郎のコピーもやるのだ。第二部で、この拓郎のコピーを「リンゴ」「高円寺」などガンガンやり、熱狂する(「高円寺」はぼくのリクエストなり)。これはゼニになりまっせ。
Jくんの紹介で、多摩ディランさんと握手。本職はデザイナーなり。装幀された本が近くに積んであり、その著者が来ているというので、その男性にも挨拶。すると、矢口卓さんといって、お酒のエッセイなどを書かれていた故・矢口純さんの息子さんだという。国立在住。国立文化の厚みを知らされる一夜であった。
青梅「澤の井」の純米酒をついついコップ二杯冷やで飲んだら、酔いが急速にまわり、ライブが終ったところで、マスオさんに「拓郎ナイト」をやりましょうとけしかけて辞去する。帰り、自転車がふらふらで、電柱に肩をぶつけた。かんぜんな飲酒運転。帰ったらそのままベッドへ。
早く寝たので、今朝、早く目がさめたのだが、ソファに「ブ」の袋が。開けると、昨晩買ったらしい本が。あの泥酔状態で、いつ寄ったのだろう。
袋を開けると、田中小実昌『天国までぶらり酒』、三島由紀夫『不道徳教育講座』、細野晴臣『音楽少年漂流記』、ちくま文庫宮沢賢治全集 5』が入っている。いいホン買ってるじゃないか。頭が買ったというより、身体が買ったという感じであった。