中本マリを生で聞く日が来るなんて

okatake2009-07-18

昨日、午前に奥成達さんのインタビュー原稿をがしっと送稿して、外出。御茶ノ水下車。趣味展、タテキン、コミガレと体をぶつけながら、サンデー毎日
趣味展では、平野レミ和田誠『旅の絵日記』が300円で出てらあ。高見順『異性読本』角川書店は小ぶりな本だが函入り。200円だった。
タテキンでは、窪田般弥『西方の短歌』思潮社を。ぱらっと開くと、「哀歌」という最初の詩が西脇の追悼詩で、
「Ambarvalia! 
 穀物祭を祝うには寂しすぎるカンダの村が
 六月の人いきれにむせ
 ラドリオのすりきれたシャンソンで」
と、神保町を謳っている。これは買わなくちゃ。
サンデーで仕事をしていると、魚雷くんが降りてきて、毎日の夕刊に「おに吉」のことを書いてくれた件についての話。カラーで表紙まで載せて、字数もたっぷり取った大きな扱い。最後に、希望者には切手を同封すれば差し上げます、と書いたところ、160名も応募があり、おおあわてしたという話だった。掲載紙を数部もらう。飯田橋へ異動。「ギンレイ」でパスポート会員の更新。昨日、更新すればよかったのだが、お金がなかったのだ。三年目の更新は、一年+一カ月期限が延びる。
音羽館」に掲載誌を渡し、店頭均一でバラバラと買う。キリヌキストNくんとばったり。店の表で広瀬くん、とんぼ書林さんと話す。地方の古本屋の未来について。地方で店売りの古本屋が減ると、買い取りがなくなり、地方で眠る古書が埋蔵され、中央へも流れてこない。つまり地方だけの問題、ではないのだ。
ぶらぶら歩いて吉祥寺へ。今夜、「サムタイム」で白夜書房の林さんから企画について相談を受ける。まだ、固まった話ではなく、手探りの状態。ただ、林さんにははっきりしたイメージがある。おもしろいじゃないか、とぼくは賛成する。置かれたポジションに満足せず、少しでも自分のやりたいことを通そうとする若い編集者の存在がうれしい。今夜は大石学トリオと中本マリ。中本マリは好きなボーカリストで、とくに70年代にTBMから出た「中本マリ3」は、渡辺香津美のギターと、鈴木勲のベースだけをバックにスタンダードを歌った名盤で、それこそすりきれるほど聞いた。まさか、生で聞くことになるとは、思わなかった。うれしい。中本マリは、いま60過ぎ。すっかり髪が銀髪になり、落ち着いた風貌になったが、ハスキーで情感のある声は変わらず。ぼくたちの席の対面に、ラメのハンチングをかぶった長髪、サングラスのきれいな女性がいて、中本マリの歌に全身と表情で呼応している。「ア・ソング・フォー・ユー」ではボロボロ泣く。目が離せなくなってしまった。あとで聞いたら、林さんも気づいていたみたい。
この日は2セット。林さんは家が逗子なので、2セット目は聞かないで帰ることを勧めたが、もう1セット聞いていきたいというので、終電ぎりぎりまで聞く。なんだか気にいったみたいでよかった。
ぼくはいい気になってちょっと飲み過ぎて、それでもいい気持で夜を閉じた。