告知、チェンジリングに圧倒、志の輔

okatake2009-07-16

来週に迫った「西荻ブックマーク」は尾崎翠特集。河出から『第七官界彷徨』が文庫化されたし、その魅力をたっぷり語ろうというもの。
いつも「西ブ」の裏方で、いろいろ世話を焼いてくれる西荻文芸ガールの木村カナさんが登場します。いい娘なんだよ、ほんと。

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今朝TBSを終え、2時半から国際フォーラムで志の輔独演会があるので、ハイヤーを神楽坂下へまわしてもらい、ドトールで時間をつぶし、「ギンレイ」でイーストウッドの「チェンジリング」を見た。2時間半、ただただ圧倒された。緊迫した画面が続き、叙述は停滞なく、最後までぐいぐい正攻法で押していく、その自信。主演のアンジェリーナ・ジョリーをはじめ、端役にいたるまで、配役がすばらしい。あんまり感情移入をして、胸が押しつぶされるかと思った。もう一回ぐらい見たいと思った。
国際フォーラムは、ボブ・ディラン吉田拓郎以来。Cホールへ入ると、入場するのにヘビがとぐろを巻くような長蛇の列。うんざりする。しぶしぶ並んでいたら、正面入口から、ハルミンさんが。友達といっしょに聴きにきたという。チケットを見ると、なんだ、3階の2列目で、同じじゃん。この日、ネギさんがほかに二人連れてくると言っていたが、石田千さんと岡部さんだった。少し会話をしただけで、千さん、かなりの落語マニアだと知る。志の輔はこの日、1500人のキャパを昼、夜と満杯にした。実力と人気を兼ね備えたトップクラスの噺家だろう。1時間近い長尺の新作と古典を二席。新作は、急に睡魔がおそい、半分ぐらいうつらうつらしていた。古典は「徂徠豆腐」という珍しい話。ぼくは、長井邸の鳳楽寄席で、ネタおろしとしてこれを聞いた。生真面目な豆腐屋荻生徂徠の友情を描く人情もの。志の輔は、あちこちふくらませながら、よく自分に引きつけ、大きな噺に仕立てあげた。ただし、この噺は、半分の30分ぐらいであっさりやったほうが、奥行きが出たのでないか。独演会というと、どうしても長尺でたっぷり、というお客の要望に応えて、よくいえば親切に、補足しながらひっぱっていく傾向がある。そのため、ちょっと理が勝って、話が重くなった。「忠臣蔵」の説明なんて、ぼくは要らないと思ったなあ。忠臣蔵を知らなければ、荻生徂徠も知らないだろう。
もちろん、いい出来だったことを認めての、勝手な注文だ。
神保町「文省堂」で、筑摩の「藤村の童話」『力餅』『ふるさと』、それに藤本義一対談『ケッタイな体談』読売新聞社を。『ケッタイ』は、笑福亭松鶴稲垣足穂夫人、嵐寛三郎、一条さゆり、花菱アチャコ鴨居羊子秋田実、真崎守と興味深い人物が次々登場。それに、貧乏ネタをいくつか拾えそう。そうか、対談集から拾うって手があるな。
これからまた仕事。地下の仕事場は、地上より2、3度気温が低いのがありがたい。