池上線の不思議な旅館で合宿

okatake2009-06-12

西荻ブックマーク 6月28日の大森山王書房『昔日の客』を読む、いよいよさ来週の日曜です。中央線文学散歩の第一人者、萩原先生が作った入魂の資料集が無料で当日参加者に配られるそうです。これは市販されていませんから、来ないともらえない。ぜひ、おでかけください。ぼくも楽しみにしている。

http://nishiogi-bookmark.org/


昨日は、某社の古本がらみの単行本企画のネタだしで、大田区の旅館に合宿。ぼく、ナンダロウくん、北條くん、音羽館の広瀬くん、退屈男くん、アホアホ中嶋くん(途中参加の真田くん)というメンバーで、知恵を絞る。池上線「千鳥町」駅前の旅館「観月」に宿泊したのだが、小さな丘の上にある、なんとも不思議な旅館だった。

http://www.kangetsu.com/(旅館の外観の写真あり)

その前、西荻音羽館」へ立ち寄ったとき、ちょうど広瀬くんが車で向かうというので同乗させてもらう。千鳥駅を越え、すぐ目の前にあるはずが見当たらない。路側に車を止め、ガレージで作業をしている老人に聞こうと、車を降りる。すると、ガレージに何本も古本の詰まった本棚と、床に古本が散乱している。「観月」を聞くのを忘れ、「ここ、古本屋さんだったんですか?」と聞くと、少々耳の遠くなったそのご老人、「ちがう。辞めた古本屋の本をそのまま全部買ったの。ぼくは出版屋だ。学術書の」と言う。「じゃあ、ここで古本屋を始めるんですか」と聞くと「やらないよ」と言う。やはり広瀬くんと一緒にいたから、古本の神様がいたずらされたのだと思う。
観月の床の傾いた部屋で、深夜までネタだしをして、男6人が蒲団を敷くと、スペースがなくなる。ふとんにもぐりこんでも、眠くならず、いつまでもバカ話をしていたら、次の日大学で授業のあるナンダロウくんに叱られる。担任に叱られた修学旅行の生徒みたいに、おとなしく部屋の電気を消す。さあ、それからが眠れない。まんじりともせず、明け方、空が明るくなってから2時間ほど眠る。あとで聞くと、北條くんも広瀬くんも同様だったらしい。
ぼくは、こう見えても神経質なところがあり、まくらが変わると眠れなくなる。そこへ、オイルサーディンみたいに、蒲団を敷き詰めた状況で、まったく眠れなくなってしまった。

翌朝、解散。北條、中嶋、退屈男と五反田へ。ちょうど金曜日で、南部古書会館の即売会があれば、もうばっちりだったが、この日はない。即売会のないのに、五反田で降りたら、損したような気分になる。モスバーガーで朝食。10時までモーニングサービスがあるという。あと数分で10時。あわててコーヒーとトースト、という一番シンプルなセットを注文したが、担当したレジの化粧の濃いおばあさんが、何ひとつ、まともにできない。スプーンの場所がわからない。モーニングセットのレジ打ちがわからない。コーヒーカップがわからない。あれもこれも、あたふたと、若い店員に尋ねる始末。けっきょく、コーヒーの入ったカップを乗せずに、スプーンなどを乗せたトレイだけよこす。なにをどうすればいいんだ、と怒るのを忘れ、おかしくなる。
このあと、中嶋くんと神保町へ出て、新興展を覗くという中嶋くんと別れ、タテキンで講談社文芸文庫2冊。加藤・中村・福永『1946・文学的考察』、柏原兵三『徳山道助の帰郷/純愛』を300円、200円で。コミガレが、ちょっと背の焼けた文芸書を大量放出。森有正全集が揃いに近いかたちで並んでいたが、よく見ると線引きありだ。三一の『久生十蘭全集 4』を見つけ、あと2冊を苦労してなんとか拾う。
サンデーで仕事をするが、眠くって仕方ない。本を整理していたら、珍しく編集長が話しかけて来て、「岡崎さん、『1Q84』読みました?」というので、「いや、まだなんですよ」と答えると、それじゃあと、編集部にあった上下二巻を手渡してくれる。さっき、神保町を通過したとき、三省堂では2だけしかなく、東京堂では1が2冊ほど残っていたが、どうしようと迷っていたのだ。こんなこともあるんだなあ、とありがたく拝借する。
サンデー毎日の次の書評は、高橋洋二『オールバックの放送作家国書刊行会、に決める。ナンダロウくんも褒めていた本だ。
帰ったら、坪内祐三さんから『文庫本玉手箱』文藝春秋、がとどいていた。これも楽しみに読もう。朝日新書から増田悦佐『東京「進化」論』を送られる。
共同通信から書評依頼あり。「週刊ブックレビュー」が横浜特集で、しかし、まだ合評の候補本が決まっていない。ヨコハマをテーマにした本といえば、紀田さん、山崎洋子さんがすぐ浮かぶが、二人とも特集ゲストに呼ばれているので、二人の本は選べない。あれこれ検索し、堂場瞬一『灰の旋律』がひっかかってきた。
また月末にかけて、あれこれ、飛びかかって来た。