どつぼの兄弟

okatake2009-05-30

朝から雨だ。塩山さんに叱られそうだが、また夢の話を手短に。知り合いの編集者が単行本を作りましょう、という。ありがたい。ところが、テーマが決まっていて「永代橋でいきましょう」というのだ。「永代橋?」と正直言ってとまどう。実地のルポを含め、永代橋で起きた江戸から近現代のドラマを描くというものらしい。「できるかなあ」と悩んでいたら目が覚めた。
昨日は昼少し前、古書会館「和洋会」。入口ロビーで上京してきた中島先生にバッタリ。学会があるんだそうだ。山本が始める古本屋について「応援してやってください」と頼む。「そりゃあ、もう」と温和な古本教授は微笑む。
階下へおりて、ごそごそ物色。黒い服の黒岩さんが目の端にちらり。「みはる」が演芸もの以外は、放出という感じで安く、『小津安二郎作品集 �』が500円。山藤章二『イラスト紳士録』函入り大型本が300円。和田誠に比し、山藤の古書価が安いのはなぜだろう。時事風刺が入るから古びるということはあるが、別に理由がありそうだ。これは持ってるが、あんまり状態がいいので阿部艶子『亭主教育』200円。本文116ページしかない。ただ表紙が本文よりひとまわり大きく、フランス装。あと文庫を一冊。おとなしい買い方。
サンデー毎日」に村上春樹新作が届いていて、担当のIさんから誰に書評を頼めばいいか、相談されるが、いま上昇気流に乗っている魚雷くん、ということになる。大竹昭子『あの画家に会いたい 個人美術館』が2冊あったので、1冊もらう。著者インタビュー用に湯川豊須賀敦子を読む』。どうも新潮に偏るなあ。高橋洋二『オールバックの放送室』を預かり持ち帰る。
「ギンレイ」最終日、シドニー・ルメット「その土曜日、7時58分」を観る。フィリップ・シーモア・ホフマンイーサン・ホークが金に困ったどつぼの兄弟で、両親の宝石店を襲撃するが誤算に誤算が重なり、坂を転げるように悪運で火だるまになる。まったく救いのない映画で、もう1本を観る元気がなくなる。先日、「西荻ブックマーク」で知り合った、四谷で書斎バー「ひらいし」の平石さんから、今週で店を閉じるからどうぞ、と招待を受けていたのででかけるが、当該の場所にたどりついても、看板一つあるわけではなし、マンション名の表示もない。完全に内に閉ざされたアルミっぽい外壁の四角い建物に、入口があるが、オートロックでブザーを押しても応答がない。しばらく周辺をうろつくが、手掛かりのない氷壁の前で立ち尽くしたよう。そういえば、書斎バー「ひらいし」ができてすぐ、一度訪れたが、この日とまったく同じだったことを憶い出す。もう一カ月以上、携帯が見つからず、携帯もないので連絡しようもない。あきらめてすごすごと帰る。
コクテイル」でひと飲みして締める。