星が森へ帰るように

okatake2009-05-27

中島梓栗本薫が死んだ。享年56。清志郎につづく、50代の死。
一カ月間があいた、歯の治療に歯科医院まで。国立へ出てブラブラ。増田書店へ立ち寄るが、もう『中公新書の森』は無くなっていた。「ブ」で石垣りん『ユーモアの鎖国ちくま文庫、「みちくさ」で横溝正史『金色の魔術師』(講談社少年倶楽部文庫)300円。後者は、明智金田一、小林少年を立花少年に置き換えたような少年探偵団もの。「ゆうれい屋敷の怪」は吉祥寺に「ゆうれい屋敷」があって、という話。
教員養成セミナー」連載「よろづ古書店」の最終回を送る。4年間続いた。毎回、好き勝手に古本を選んで、それについて書いて来た。まったく制約はなく、教員志望者にはほとんど役に立ちそうもない原稿だったが、気ままに書かせてくれた。「続きはうちでどうぞ」と言ってくれる媒体が出てくればいいが。最後は少しぐらい役に立ちたいと、楠田枝里子の科学エッセイ『楠田枝里子の気分はサイエンス』毎日新聞社(1984)について書く。飯野和好のイラストがふんだんに入った、真四角に近い絵本みたいな本。これは名著ですよ。
魚喃キリコ『blue』を読んで、『短編集』が「ブ」に半額であったので買ってきて読む。描線だけで読ませる、白っぽい画面に、若い女の子たちの、主に恋愛についての心の揺れ、動きが定着されていく。性行為をよく「不純異性交遊」と呼ぶ(いまは言わないか)が、魚喃のマンガでは、セックスすることで女の子たちが純粋になっていく、ようなところがあり、それが新しいのだ。魚喃ファンは、映画化された「blue 」をあるいは気に入らないかもしれないが、ぼくは、両者を見て読んだ上で、いやあ映画はよくやったなあ、と思ったのだ。
プリプリの「M」の歌詞にある
「星が森へ帰るように 自然に消えて 
 ちいさな仕草も はしゃいだあの時の私も」
というところが、非常に美しいイメージだと思えて、いいと思えるものを、少しでも死ぬまでにたくさん溜め込んでおきたいと思うのだ。ほかにやれること、あんまりないもんな。