落語分科会

okatake2009-04-17

「雨だと思っていたのに予想がはずれたね」とは、上野茂人さんの名曲の歌い出しで、耳にこびりついたら離れないですが、今日は「雨」の予報で、たしかに小雨がぱらついたが、傘がなければどうしようもない、というほどでもなかった。で、五反田。朝、BSで「世界ふれあい街歩き」を見てから、と思ったら、ホーチミンで、こりゃ見たわいと家を出る。
結論から言えば、二階本会場の西村文生堂が、かたっぱしから200円、300円でダンピングして、異常な棚になっていて、買いまくる。一階ガレージより、二階の方が買った量が多いのは初めてじゃないか。珍しく宅急便で送る。股旅堂くんとレジで話していたら、お釣りをもらうのを忘れ、うさぎさんが追いかけてくる。ああ、恥ずかし。また、客が減った一階をひとまわりし、二冊買う。一冊は、来週上京する蟲文庫さんへのプレゼント。「蟲」がタイトルについてる。で、レジで払おうとしたら、ひぐらし、ポラン個性強過ぎる両巨頭にはさまって古楽房さん。すごい絵だった。
神保町へ移動して、コミガレ覗くも収穫なし。一冊だけなら、欲しいのがあったが。東京古書会館で、またゴソゴソと買う。すべて「キクヤ」さん。105円の札がいっぱい。犬養智子『ネコの事典』、安田南『みなみの三十歳宣言』、小林信彦『笑学百科』など。粟津潔『デザインになにができるか』210円、『「明星」50年 601枚の表紙』集英社新書315円。
サンデー毎日で仕事をして、「ギンレイ」へ。二本立ての一本だけ見て、見逃していた残りの一本を見る。阪本順治闇の子供たち』。江口洋介宮崎あおい妻夫木聡。タイの子供の売春、臓器密売の実態を、かなり生々しく描く。その点では、途中までドキドキしながら見る。しかし、後半から最後にかけて、なんじゃそれ、という結末にがっかり。宮崎あおいも、なぜタイで命を張ってまでコドモたちを救おうとするのかが、最後までわからない。江口に「バカ女」と批判されるが、ほんとうにバカ女にしか見えないのだから困る。
あっ、と思ったのは、飯田橋への電車の車中で、『みなみの三十歳宣言』をパラパラ読んでいたら、中津川フォークジャンボリーに出演した話がでてきて、そこで「偶然会った友だちの外波山文明という男」という一行を見つけ、ああ、外波山さんと友だちなのか、と思い、「ギンレイ」で、『闇の子供たち』を見てたら、その外波山さんが悪徳医者役で出てきた。外波山さんには、「ゴールデン街」でかつて俵万智がカウンターのなかに入っていた店として取材し、そのオーナーが俳優でもある外波山さんだった。そういえば、阪本順治も取材したことがある。
中野へ移動。中野ZERO劇場で、歌武蔵、喜多八、喬太郎の落語会を、「だいこんの会」落語分科会のネギさん、晩鮭亭さん、志織ちゃんと見る。300人ぐらい入るホールが満杯、半分は女性だ。しかも年齢層もバラバラ。落語人気を実感させる。歌武蔵「寝床」、喜多八「明烏」と、教科書のような古典名作を、二人ともきっちりやって大いに会場を沸かす。歌武蔵の「寝床」に枝雀の影響を感じる。この夜いちばんよかったのは喜多八で、これまでどこかの寄席で聞いたかもしれないが、ちゃんとした印象はなく、この夜の「明烏」で感服する。「お稲荷さんとは思っていないだろう」を「吉原」と言い間違えたミスがあったが、純情な若旦那を、やや誇張して演じた。トリの喬太郎の新作、おわい屋はまったくつまらなかった。才能の無駄遣い。スカトロがいけないというのではない。「禁酒番屋」「勘定板」など、ギリギリのスカトロは古典にもある。ただ、喬太郎のは悪ふざけがすぎて不快。その才を高く買うだけに、もったいないと思う。しかし、会場の8割は痙攣的に笑っていた。「笑いの陰にかくれて50人ぐらい笑えない人がいるようですが」と喬太郎自身が言っていたが、50人、同じ思いの人がいたらまだ救える。笑えなかった人だけで、ちょっと一杯やりたくなった。