いろんなことがあったんだ

okatake2009-04-06

4日は高円寺即売会経由で月の湯へ。
高円寺では、『蟻の街のマリア』200円。これはバタ屋街に住みついて布教をした深窓の令嬢のルポ。「あった、あった。」で使うつもり。解放社『百万人の映画知識』は、小津ほか執筆陣がすごい映画読本で、植草甚一がイタリア映画その他について書いている。単行本未収録ならん。ただし植草調は身を潜め、植草サンの文章として残すまでもないかもしれない。
潮から単行本未収録の文章を集めた吉行淳之介「文章生活」シリーズ(新書判、函入り)は好きなシリーズで、全巻もっていたが、その後手放した。また、少しずつ買い集めている。未所持か所持かメモしていないので、ううむと思ったが、この日も二冊拾う。各200円。『甲羅に似せて』と『エアポケット』。前者についてはさっそく読了。おもしろいところをノートに引き写しておく。このノートに引き写す作業が、物書きとしてのストック、財産になる。
三宅艶子『良妻悪妻』も珍しい。小さなカットがたくさん入っていて愛らしい。300円。南博編『記憶術』カッパブックスはよく売れた本だが、これもあんまりは見ない。真鍋博の初期カットが大量に使われている。100円。
月の湯はちょっと交通のエアポケットみたいな場所で、目白からバスがいちばん早いが、目白まで行く、バスに乗り換えるというのが面倒で、東西線で早稲田まで行き、そこからぶらぶら歩く。ちょうど、神田川沿いの桜並木が満開で、いつもは閑散とした一帯が人、人、人で埋めつくされている。それを尻目に胸突坂にとりついてえっちらおっちら月の湯へ。道路まで出ていた向井くんに挨拶、月の湯前には退屈男くんがいる。あちこちで知り合いに挨拶しながら、ざっと見てまわり、岡崎正通・大和明『最新モダン・ジャズ決定盤』音楽の友社300円を買う。こういうジャズ本は何冊あっても楽しい。川崎洋飯野和好『もうおそい愛の話』は裸本だが200円。清水宏小原庄助さん』DVDが400円、この名作をぼくはまだ見てなかった。恥じ入りながら買う。
明大、学習院の古本講座で熱心な生徒だったY&Nコンビが、その後ゴールインし、可愛い第一子をもうけ、月の湯へ連れてきていた。Nさんにそっくりの大きな目のお人形さんのような赤ん坊。顔を見たら泣かれてしまった。
月の湯を辞し、また早稲田まで歩き、ついでに古本屋街を流しながら高田馬場へ。ジャズ喫茶「マイルストーン」でジャズを浴びながらコーヒーをのんでいたらすっかりいい気分になった。「ブ」も覗かず帰宅。そんな日もあるのだ。
「デ」で西岡恭藏の名盤「街行き村行き」、「ブ」でボブ・ディランの75年ライブ2枚組「ローリング・サンダー・レビュー」を買う。
善行と昨日電話で話したが、古本屋になる話、思ったより進展していて、ひょっとしたら夏の下鴨の頃には、もうすっかり店の主人におさまっているかもしれない。朗報だ。スムースのメンバーがしっかり後方支援すること。「スムースの棚」なんてのができるかもしれない。
2002年の手帖が見つかって、表紙には娘が幼女の頃にいっしょに撮ったプリクラが貼ってある。まだ前のマンションに住んでいた。10月29日に引っ越し、とある。そうか、今の家には2002年に超してきたんだ。9月30日にはムッシュ、10月8日には藤臣柊子さんに取材している。このころ、新潮文庫ポール・ボウルズシェリタリング・スカイ』も探していた。9月のところには5日から13日まで、ベルギー旅行した跡が見える。「旅行中のやりだめ原稿」としてあれこれ書いてある。
いろんなことがあったのだ。
手帖の扉に、こんな詩の一節を書き付けていた。


そして疲れ
おもひも尽きた
暗い部屋にゆき
風のやうに眠つた
北園克衛「花」)


コクテイルライブにきて下さったTさんが、写真を撮ってくれていました。ありがとうございました。

あ、そうそう、ナゴヤブックマークの企画で、リブロの棚を借りて約三週間売ってもらった古本の残りが帰ってきた。4箱送って2箱戻る。6割が売れたってかんじか。総額7万6千円強。京都のジュンクでやった時と比べてどうだったっけ(って誰に聞いてる?)。集計、撤収、返送などリブロの辻山さんと青木にはすっかりお世話をかけてしまった。正直、大変だったと思う。スムースの会の二次会三次会が終り、酔っぱらって、ロボットみたいな動きになっていた青木を思い出す。