千駄木へ

okatake2009-02-09

山本善行が古物商の免許を申請するという。いよいよ、プロデビューか。というより、あそこまで行けば、たしかに、取っておいたほうがいい。京都で、いい物件が見つかるといいが。
日曜日は、一日かけて『ベスト・オブ谷根千』を、メモを取りながら読む。いきいきした肉声の記録が楽しい。
そして今日、谷根千工房へ取材に。御茶ノ水経由だから、「新宿展」を覗いていく。生田耕作訳エーメの『第二の顔』は、新書判。200円。「シネマ69」創刊号、「ユリイカ マンレイ特集」、尾辻克彦『少年とグルメ』(片山健装幀、挿絵)、寺山修司編『人生万才』などを。いずれも500円以下。
千駄木下車、団子坂交差点からすぐ、マンションの一室に編集部がある。仰木ひろみさん、山崎(可の上は立)範子さんに取材。亜紀書房若い女性編集者Kさんも同席。コーヒーを入れてくれたのが、たぶん川原理子さんならん。お二人とは、一箱古本市で面識もあり、同世代とあって、わりあい気楽に話しをさせてもらうことができた。お二人とも素敵な女性だった。森まゆみさんを含め、お三人のキャラクターがまったく違い、役割分担がうまくいっていることを確認する。これは「サンデー毎日」の著者インタビュー。写真を撮る段になって、持参したデジカメが不調。編集部にあったデジカメをお借りし、しかも編集者のKさんに撮ってもらう。取材者失格なり。
せっかくだからと、「ほうろう」も寄っていく。店番の宮地くんに挨拶。加藤千晶さん、一箱古本市の話など。店内を散策し(みごたえあり)、300円均一(2冊目から200円)から、辻原登『家族写真』、ビートルズティン・パン・アレー特集号を買う。後者、本秀康のマンガ「レコスケくん 特別編/ビートルズのスゴさ語り会」がおもしろく、ティン・パンの道のりをたどるサエキけんぞうの評論に厚みあり。御茶ノ水乗り換えの際、「三進堂」均一で、ホイチョイの『ミーハーのための見栄講座』を100円で。これは「あった、あった。」ネタ用。
今週「あった、あった。」は、アニメ「さすらいの太陽」かるたを取り上げる。
浅生ハルミン『猫座の女の生活と意見』晶文社、ほぼ読み終えたが、なんともとぼけた味わいの文章に、心底感服する。ハルミンさんの語りが聞こえてきそうだ。下ネタに強く、しかもキュートに仕上げる筆さばきに、とても真似ようのない芸風が確立されている。
「みなさん、こんにちは。誰かが道路に吐いて乾いた唾が五〇〇円硬貨に見えるほど、貧乏な浅生ハルミンです」というギャグには嫉妬さえ覚えた。
金井美恵子の文庫の背がピンクで、「落合恵子も同じ色指定ですが、これは置いておきます」という箇所の「置いておきます」という表現も巧い。たぶん、手だれの編集者から、「小説、書きませんか」と声がかかると思うが、うかうかと乗らず、イラストと、この独自の路線のエッセイでやっていってほしい。いわゆる、ネコが登場する、低温の、ふわふわした、不思議ちゃんのエッセイとはまるで違う。「あとがき」で知ったが、いまやハルミンさんの名伯楽、向井くんとの出逢いは、ぼくの家、だったらしい。知らなかった。
一点のみ、おじさんから言わせてもらえば、「憧れのくノ一」の章で、「『プレイガール』の松岡きっこ」とあるが、松岡きっこは「キー・ハンター」ですよ。