新・阿佐ケ谷会

okatake2009-01-11

昨日は新阿佐ケ谷会の新年会。その前、高円寺「愛書会」を覗く。荷風『ぼく東綺譚』岩波文庫ワイド版250円、獅子文六『愚連隊』角川書店350円、講談社世界伝記全集『ゴッホ』300円(挿絵が伊原宇三郎)。『ゴッホ』には、ライオン歯磨きの抽選券(乗用車から乳母車まで)が挟まっていた。この本が昭和29年の刊。裏を見ると昭和29年12月下旬に抽選発表、とある。この時代、自家用車など高嶺の花だった。
「ささま」へも今年初の訪問。均一で、西江雅之『マキヨ・イネのアフリカ日記』新潮文庫は珍しい。裸本だが、結城信一『螢草』創元社はこれまた珍しい。星野博美『のりまきと煙突』文藝春秋は読みたかった一冊。
ささまの前をそのまま阿佐ケ谷方向へ。ホテル西郊の前を過ぎると、今日の新阿佐ケ谷会の会場がある。青柳いづみこさんのピアノを少人数で聞くのだからぜいたく。木山萬里さんがいらしていて、話し込む。あの木山捷平の息子さん。もっぱら蟲文庫の話題。木山さん、田中美穂さんをたいそう気に入られて、「応援団のつもりです」とおっしゃる。蟲文庫には、こういった強い味方がたくさんついている。出てまもない「天使のピアノ」に収録された曲を中心に、間近で青柳さんのピアノを聴く。酔ったような醒めたような気分になる。最後の「トロイメライ」で、ちょっと涙ぐむ。青柳さんの手にかかると、こういった通俗的名曲が新鮮に聞こえる。また、映画「ここに泉あり」で、群饗が旅公演で、ハンセン病の患者を前に、この「トロイメライ」を演奏するシーンが有り、それを憶い出したのだ。みな深く聞き入り、終ったら拍手するのだが、手が不自由なため、それは乾いた静かな拍手になった。感動的シーンだった。
演奏が終り、その場で食べ物、お酒がでてきて、小さな宴。川本三郎さんが見えていて、昨年6月にガンで亡くなった川本恵子さんの話をされ、みんなしーんとなる。青柳さんが「私と同い年の人が次々死んでいく。恵子さんにはお目にかかりたかった」と心のこもった追悼をされる。青柳さん、美智子皇后から直接電話をもらったことがある、という話に、一同驚く。
このあと有志で阿佐ケ谷「だいこん屋」へ移動。奥の間でまたわいわいがやがや。「だいこん屋」はひさしぶり。以前「だいこんの会」はここで始まった。それで「だいこんの会」なのだが、店の方にその旨お伝えすると、そうですかと喜んでらした。
この夜、9時35分から西国分寺、立川間が高架工事のため中央線がストップする。それまでに帰ろうと思い、途中「それじゃあ、ここで」と立ち上がりかけるが、装幀キング間村さんに「なに言うてんねん、まだええやないか」と止められ、また座る。結局帰宅したのは12時回っていた。中央線下りで、武蔵小金井国分寺と乗り継ぎ、西国分寺から代替バスに乗り、国立へ。さぞ混雑し、長蛇の列と思いきや、次々とバスが巡ってくるため、あっさりと乗れて、座って国立へ。いつもと違う風景のなか、国立駅へ着くと、なんだか知らない町に来たような気になるのだった。
先日、高円寺即売会へ行く途中、昼飯を食べた中華屋でのできごと。四人席に案内されて一人座っていると、あとでガテン系の作業服(水色)を着た二十代らしい二人組が同じテーブルの目の前に並んで座った。注文したのは、髪を染めた先輩格(もとサッカー選手の城似)がレバニラ定食、後輩(アンガールズの山根似)が回鍋肉定食。二人が話し出す。城がキャバクラの女の子にケータイの電話番号をもらったという。山根が「そんなこと、実際にあるんすか?」、城「あるんだよ」。山根「あ、おれもあったんだ」、城「いつよ?」、山根「19のとき」、城「ずいぶん前じゃん。場所はどこよ」、山根「府中。でも、おれ、番号なくしちゃったんですよ。可愛かったな。相手は18ですよ」。間があいて山根「○○さん、キャパクラ狂ってるんでしょ」、城「22だろ。もうケモノだよ」。山根「ケモノ、っすよね」。そこで注文の品が届き、二人はぱくつく。山根「味、いいっすねえ」とうれしそうな顔。城「おお」と無表情。
なんか、若手お笑いのコントを見てる気になったな。