あたらしいらしいぞ今年は

okatake2009-01-01

不思議なもんですねえ。昨日と変わらぬ季節、たった一日過ぎただけで、やっぱりどことなく、空気さえ違ってみえる。年が改まるありがたさを思う。
朝はトースト、昼は簡単なおせちとお雑煮、夜はすきやき。
午前中に年賀状が届く。娘がまだか、まだかと待ちこがれていた。バイクの音がして、門柱の郵便受けにドサリと手応えが。すぐ娘が飛んで出て、ぼく、妻、娘と仕分けをする。「なんだ、お父さんのばっかり」と言いながら。今年の元旦は、ぼく宛てに115通、賀状が届く。出し忘れた人、意外な人など、あわてて返事を書き、投函する。
午後、車で阿須佐味神社へお参りに行くが、途中大渋滞であきらめる。それなら立川栄「ブ」だ。新年のセールで、CD950円が2枚1500円。ジャズでけっこういいのがあったのを、昨年末にチェックしてある。初詣でを「ブ」でするというのがわが家らしい。明日は文庫200円均一ということだったが、この日、フライングのタイムサービスで1時間だけ、文庫新書200円セールをやっていた。しかし、時すでに遅しで、一人の30代ぐらいの男性が、セルフのカゴにぎっしり講談社文芸文庫ちくま学芸文庫岩波文庫などを詰め込んでいる。大量虐殺で、あとは草も生えていない。あまりに可愛げのない買い方で、注意してやろうかと思う。
本はあきらめ、ジャズCDの棚で4枚拾う。ジャッキー・マクリーン「ワン・ステップ・ビヨンド」、デクスター・ゴードン「モア・パワー」、オーネット・コールマン「サムシン・エルス」、ウィントン・ケリーウィントン・ケリー!」。これで3000円。「デ」が割引制を止めて、こんな大人買いができなくなった。これはひさしぶりの充実した買物。大晦日仕入れたDENONのRCDーCX1で、ガンガン聞こう。
河野万里子による新訳『悲しみよこんにちは新潮文庫を、ジャズを聞きながら手に取ってパラパラ読み始め、その冒頭に目を見張る。
「ものうさと甘さが胸から離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しくも美しい名前をつけるのを、わたしはためらう。(中略)でも今は、なにかが絹のようになめらかに、まとわりつくように、わたしを覆う。そうしてわたしを、人々から引き離す」
この気負った自意識過剰なセンテンスは、青春小説にぜひとも必要なものだ。そして、そこに流れる詩情。サガンはこのとき18歳で、ヒロインのセシルは17歳だ。