アン・サリー様の夜

okatake2008-12-25

ひさしぶりに「デ」で3枚。大野雄二ルパン�シリーズで、カヒミ・カリィが参加した盤、高田渡「フィッシン・オン・サンデイ」は細野晴臣を同行したロサンゼルス録音。「初めての我が子に」「漣」と、漣くん誕生の時期に作られたとわかる。そして、LPでさんざん聞いたが、そういえばCDを持ってなかった「サムシンエルス」を。「デ」は、割引制を止めてから、客が減ったようだ。割引制の色分け値札はそのままだから、こちらとしても割り切れない。
昨夜は恵比寿ガーデンプレイスのホールで「アンサリー/細野晴臣」ライブ。イブとあって、イルミネーションで光り輝くガーデンプレイスは若いアベックが佃煮状態。あちこちでキスをしている。おっさんは人ごみを避け、暗い裏道を行く。このホールは初めて。ちょいとゴージャスな雰囲気。クロークでコートを預け(帰り、出すときに長蛇の列、失敗)、階上へ行くと晩鮭亭さんに声をかけられる。4枚券を取ってくれたが、3人分しか埋まらず、1枚ムダになった。申し訳ないことをした。またその券が、B席の中央という、つまり前から2列目のど真ん中という最高の席。こんなにいい席で見ることは二度とないだろう。
ノンちゃん夫妻は来る事を知っていたが、カメラマンのSくんと会場で会ったのは驚いた。NEGIさんも仕事帰りに間に合い、その黄金の席へ向かうと、そこでまた「岡崎サン」と声をかけられる。見ると、一箱古本市青秋部の、ケーキに乗っけたいような可愛いカップル。しかも同じB列。「おお!」と声を挙げてしまう。
ぼくをセンターに、右に晩鮭亭さん、左にNEGIさん(空いた席は荷物置き、ぜいたく)と水戸黄門になった気分。ドキドキしながら出を待つ瞬間が好きで、そしていよいよアンサリー様がおいでになる。ピアノ、アイリッシュハープ、トランペット(これが旦那)、ギターという編成。おなじみの曲に加え、「ザ・クリスマスソング」にしびれ、細野晴臣作曲の「ガラスの林檎」を歌い、あんまりいいので松田聖子歌唱のこの曲を見直す。「蘇州夜曲」のとき、靴を脱ぎ、それを横に揃えて歌った。それが演出ではなく、この曲を歌うにふさわしいのだと思えた。最後、その靴を下げて、おどけて引っ込んだのだが、心のなかで「その靴を投げてくれ! ブッシュみたいに避けないぞ」と叫ぶ。情感を含みつつ、それにおぼれず、伸びやかな声は聖域に達し、天使たちがバラバラと舞い降りてきそうだった。人を幸せにする声なんだと思った。それをこんな間近で見れて、晩鮭亭さんに感謝だ。満足以上の満足だった。
細野さんは、細野さんだった。ぼやきのような喋りを曲の合間に入れながら、黒いギブソン一本で古い曲を自作曲も含め歌う。越美晴アコーディオンとピアノ、マンドリンスチールギター高田漣で、「フィッシン・オン・サンディ」が細野晴臣フィーチュアのもと、「漣」という曲(詩を朗読)が録音されたことを考えると、感慨深い。アンコールは予定済み、アン・サリーを加え「三時の子守唄」「ホワイトクリスマス」で締める。
助さん、格さんと感動の余韻冷めやらぬまま、恵比寿駅前の「プロント」でお酒。津島佑子『あまりに野蛮な』をようやく読み終える。
「ブックジャパン」、庄野至『三角屋根の古い家』書評は来年初めにアップされる予定。今年中に手が空いたら、もう1本押し込むつもり。