秋晴れは神保町で人に間違われて

okatake2008-10-27

週明けは秋晴れ。早く目が覚め、少し眠いや。昨晩は「世界ふれあい街歩き」がブダペスト。最後、宵の灯りが町を照らすなか、テーマ曲が流れてくると、なんともいえないいい気分になる。
ブックジャパンの書評用、『ボン書店の幻』がどうしても見つからない。ここんところ、本を買い過ぎて、いよいよ書斎がどうにもならないことになってきた。こうなると、もう生まれ変わるしかない、という気持になってくる。あっちを崩し、こっちに積み、向こうへ移動し、そっちで崩れと消耗していく。
10時半サンデー毎日編集部へ。今週末、出張があるので、二回分をこなす。「ギンレイ」へ、とも思ったが、まだ昼食をたべてない。神保町へ、「古本まつり」を覗く。村山書店前あたりで、60年輩の男性が「やあ」と声をかけてくる。見たことない人だが、どこかで会ってるかもしれない。神保町ではよくあることなので、「ああ、どうも」と笑みを返す。すると、「どこかで逢えるとは思っていた。なんか、顔の感じが少し変わったかな。(口のまわりに手をやって)このあたりが、やっぱり怪我したからかな」などと言い出す。途中まで話を適当に合わせていたが、(あ、これは誰かと間違えている)と気づく。さりげなく、離れて、九段方面へ露店を流していく。どこも人がいっぱいで、自分が立っているところは既得権益、という感じで保守しているため、なかなか思うようには見られない。いま一番マナーの悪いのは、塩山御大も書いているが、これら古本漁りをする、リュックを背負ったおじさん、おじいさんたちではないか。耳にイヤホン、手に携帯の若者以上に、自分の周囲にいる他人への配慮がまったくない。リュックは肩からはずし足元へ置くか、片側だけはずし、脇へ抱えるか、どっちかにしろ。コミガレでも、自分の欲しい本を確保して、並んでいる本の上にどかっと置いて(下の本が見えない)輩がうんといる。若い人の方が総じてマナーがいいと思うのはぼくだけか。
まあ、いいんだ。一般ぴーぷるの日だからな、とトーンを落として、ただ見てまわる。だいぶ立ったころ、また先ほどの男性が近づいてきて「ああ、やっと逢えた。探してたんだよ」と言う。もうこれははっきりさせた方がいいと思い、「誰かとお間違えだと思います。ぼくは岡崎と言います」と名乗る。そこでやっと別人だと気づいたようだった。「いや、あんまりそっくりなので」(ぼくのことは知れないようだ)と恐縮される。「そんなに似てますか?」「いや、そっくりなんだ」。「なんとおっしゃる方ですか」「大関と言ってね、親友で、今日、ここで逢うことになっていた」と、「おかざき」「おおぜき」と名前まで似ている。こうなると、くっついていって、その大関さんとやらに逢いたくなってくる。でも、逢うと、たぶんそんなには似てないんだ。
結局この日は、ロブグリエ『嫉妬』昭和34年新潮、400円。後藤明生吉野太夫平凡社600円、清岡卓行詩集『日常』300円を買う。
彷書月刊」編集部に寄る。いま、ちょっと大変なのだ。一度辞めた屋良さんが東京へ戻ってきていて、臨時で手伝っているとのこと。みなさん。「彷書月刊」の締め切りは守りましょう(誰に言うてるんや!)。今月号「彷書月刊」は「特集 珍品大オークション」。ぼくは「ある陸軍主計大尉の遺品一括」が入ったトランクが気になった。最低価格5000円。
QBで散髪。帰りの中央線で、珍しく、眠りこける。
大屋書房さんの、えらく豪華な、資料的価値の高い目録『妖怪カタログ』が届きました。江戸期から現代までの妖怪を扱ったビジュアルものだけを集めた目録。最低でもウン万円。最高は百ウン十万円。それだけの値打ちはある。
毎日新聞社から蜂飼耳さんの散文集『秘密のおこない』が出ました。書評とエッセイの集成です。蜂飼さんの文章のファンとしては、秋の夜に静かに読みたい本です。
ガープの世界』読了。未読のアーヴィングをしばらく読むつもり。