生卵に大喜び

okatake2008-10-18

昨日の午前中だったか、市川崑「若い人」をCSで観る。以下、日本映画専門チャンネルより。

石坂洋次郎の原作を池部良島崎雪子久慈あさみで映画化した青春ドラマ。北海道のミッション・スクールの若くハンサムな教師・間崎慎太郎(池部良)は、教え子の江波恵子(島崎雪子)に興味を持つようになる。が、恵子は英語教師・橋本(久慈あさみ)と間崎の関係に嫉妬し、自分は間崎の子供を妊娠したと言いふらす。特殊な生活環境からひねくれた育ち方をした少女の思春期の心理を描く。」
 
印象に残ったディテール。間崎が下宿(雑貨店の2階)で、寝転んで読んでいる雑誌は「中央公論」。橋本からもらった林檎を間崎が絵に描き、それを橋本(久慈あさみ)に顔に描き変える、その絵が巧い。たぶん市川自身の手によるものではないか。修学旅行で関西と東京へ。大阪駅前のショットで阪急百貨店のビルが映る。東京の宿で、外出した間崎が(間崎は東京の人間)土産に持ち帰ってみんなに配ったのが卵。みな大喜び。これなんか、いまの「若い人」が観たら、わからんやろなあ。生卵で大喜び。

昨日は6時に目がさめ、「サンデー毎日」インタビュー原稿(清水義範)を送付し、早めに外出。神保町へ。「ぐろりあ展」を覗くが一冊も拾えず、神保町均一をさまよい、それでもうまくいかず、南海堂店頭から、「太陽 本の宇宙誌」を200円。これは、ほんとうによくできている号で、本好きの心をくすぐる編集ぶりだ。編集部に秋山礼子さんの名が。「太陽」休刊のあと、JTB時代の「旅」へ移られて、ぼくの担当となる。「著者インタビュー」を受け持ったのだ。このとき、清水義範さんにインタビューしている。だから、今回、6年ぶりぐらいだった。
サンデー毎日を終え、夕刊編集部に「あった、あった。」ネタの本を届ける。若い女性記者が先輩に叱られていた。何があったんだろう。
ごぶさた「ギンレイ」に、プログラム最終日、駆け込む。「JUNO(ジュノ)」と「西の魔女が死んだ」を観る。どちらも思春期の女の子を主人公にして、まったくテイストの違う映画になっているのがおもしろい。前者は16歳で妊娠した主人公を巡る騒動を描き、後者は中学で登校拒否になった女の子が、八ヶ岳か軽井沢あたりの山荘で一人暮らしするおばあさんに預けられる話。
見終わったら8時過ぎ。ひさしぶりに高円寺「コクテイル」へ寄ってみる。表の均一から、穴吹義教『ダイヤル風流譚』(世界中の電話にまつわる話を収録)これで原稿が一本書ける。長田弘対談集『対話の時間』、添田知道『流行り唄五十年』朝日新書(ただし、フロクのCDはなし)を各100円で。
この晩、「コクテイル」には知り合いが続々現れ、楽しくなって遅くまで痛飲。帰りの電車で何度か吐きそうになる。こういうことは珍しい。ちょっと飲み過ぎだ。しかもビールに始まり、焼酎、日本酒入りの新カクテル(こないだの西荻ブックマークで披露されたうちの一点。来場者に命名してもらうというので、ぼくは「人間嫌い」とつけた。「人嫌い」とつけた人がほかに一名)、最後は澄ちゃんと、ぼくのライブによくきてくださるカップルに混じってワインとドガチャガになる。
国立までたどりつくが、さすがに自転車は無理だ。タクシーで帰還。水を2杯、強引に口に流し込んで、ベッドへ突入。
『ボン書店の幻』読了。大原富枝『彼もまた神の愛でし子か』は、第一部が洲之内と重松鶴之助の関係にこだわりすぎて、なんだか読みづらい。もう少し、すっきりした評伝が読みたいところ。林哲夫さんが書くしかないか。