これからもう一仕事

okatake2008-10-02

秋の朝、早起きして「インビテーション」原稿を書く。市川さんの『おんな作家読本』ポプラ社。あわてて外出。神戸行きの新幹線の切符、一時間早める。スタジオ入りが少し早くなったのだ。指定の変更も窓口でなく、機械でできるんだ。よいしょ、っとやる。液晶画面が光って見えにくいな。
今日は早稲田穴八幡の古本市へ。まずは文庫、新書にとりついて4冊。早稲田の学生らしいのが4、5人。1人が「えっ、これどこに値段、書いてんの?」。別の一人が裏表紙を開いて「ほら、ここ」。「マジ? へえ、そうなんだ。わかりにくいじゃん。あ、これ買いだな」と会話。だから早稲田大学は新入学のオリエンテーションで、「古本講座」をやりなさい、と言ってるんだよ。
向井くんに挨拶して、あるものを渡し、会場を一回り。あれ、まだセミが鳴いてるなあ。おーしつくつく、すっとこちーよ、じーってやつだ。吉屋信子『自伝的女流文壇史』中央公論の単行本(写真)を買ったのは、『おんな作家読本』の影響。塩山さんが神保町で拾ったという文庫版は持ってんだけど、『おんな』の書影を見るとほしくなるよ。450円。ほか、キングのフロク「発明工夫読本」200円。
さっきからずっと、炎天下で、大学生らしい男女が、もう30分以上喋っている。少し距離を置いて。まだ関係はないみたい。しかしうわずる声で、お互い、意識しあってるのがわかる。おいおい、喫茶店でも誘って、ゆっくり喋れよ、と言いたくなるな。炎天下じゃあ、彼女がかわいそうだろう。でも、若いって素晴らしい。夢は両手にいっぱい。恋もしたいの、って昔の歌にあったな。おっさんは進む老眼を、しょぼしょぼさせながら、穴八幡をあとに、早稲田の右岸をざっと流す。「虹」で、『わんぱく戦争』講談社を100円で。これは毎日「あった、あった。」用。尾久彰三『貧好きの骨董』晶文社200円。これは骨董にはまっている弟にやろう。
あれ、渥美書房ってここだっけ。隣りの移転した鶴本はラーメン屋になったのか。どんどん、早稲田はラーメン屋街になっていくなあ。みんな、そんなにラーメンが好きかねえ。古本も好きになれよ。ラーメンぐらい古本が好きになれば……やめとこう、愚痴になってはつまらない。
サンデー毎日」を終え、いつもなら、神保町経由、中央線「ささま」、西荻など回るところだが、まったく元気なし。しおしおのパーだ。おとなしく帰宅。ゲラ、手紙、それに寄贈本。白水社からはミシェル・パストゥロー『ヨーロッパ中世象徴史』という立派な本が。あ、訳が篠田勝英先生だ。先日、青柳いづみこさんのコンサートでお目にかかったばかり。そうか、すいません。こんな無学なぼくに。
「未来」10月号もいただきました。
明日から関西出張。神戸でラジオ録りして、その夜は高校の友人と飲み、翌日は天神さんの古本祭りだ。ぼくはもう外様という気分で、山本善行先生の足手まといやお邪魔にならぬよう、静かに見せてもらうという気持だ。
10月に入って、また前半はバタバタと忙しい。「中央公論」の「ベストセラー温故知新」は今月締め切り(12月号)で連載終了。5年以上やったのかな。長くやらせてもらって感謝だ。『ベストセラーだって面白い』という本まで作ってもらって、言うことない。藤平くんに始まって、いまの田中くんと、歴代編集者も優秀で、とても大事に扱ってくれた。気持よく仕事ができたことを感謝したい。
これからもう一仕事して、週明け、またお目にかかります。ではでは。