昔の文章がいい、とほめられた

okatake2008-09-26

昨日、寝てしまって、半日遅れの締め切りを果たすため、朝7時に目覚ましをかけて起きる。月2回の社説をまとめるルーティンな仕事。しかし、集中すれば2時間半で出来て、ギャラはいい。聞くと、週3、4回、スーパーのレジを打っている、あるいは工場のようなところで働いているパートのおばちゃんはイヤになるだろう。しかし、2時間半の根をつめた緊張はなかなか続かなくて、たいていダラダラ半日ぐらいかけてやってしまうのだ。今朝は集中。
午後から外出。まず「サンデー毎日」。仕事中、しょっちゅう担当のIさんから、書評の相談をもちかけらる。それはいいのだ。それ込みでぼくはこの仕事を請け負っていると思っているから。今日は古川日出男の、太い新作長編『聖家族』を、これは話題の新作ですよとアドバイス、それではぼくに書評を、と言われたが、ちょっと自信がない。同じサンデーの常連執筆者で、コラムも持つ陣野隆史さんを推薦する。すぐにメールを送ったら、プルーフ版を送られてきて、やるつもりでした、と返事があったという。それはよかった。こういうふうに、うまくカップリングの手伝いができれば、ぼくにも達成感があるわけだ。
仕事を済ませて地下鉄で移動。「五反田」へ。いつもは朝一番に行くのだが、今日は仕事を優先。途中、田村さんと出逢い「おっ、今日はゆっくりやがな」と言われる。会場でもゆっくりのんびり一時間強周遊して、10冊を買う。ほとんど200円で、300円が混じる、という感じ。
中村武志目白三平の四季』講談社ロマンブックスは、西原比呂志のほのぼのとしたタッチの装画がいい。赤瀬川原平『ちょっと映画に行ってきます』は、けっこう見ない。「風の谷のナウシカ」を取り上げた回は、引っ越しで忙しく、映画を見ないで、引っ越しのことばかり書いて一回もたせている。これも赤瀬川ならでは。2階に赤瀬川展のカタログが出ていたが5000円以上ついていた。
エピステーメー」の『映画狂い』という全頁特集号は、あんまり素晴らしい編集ぶりで、これは持ってるけど買った。「月の湯」に出そう。蓮實・山田対談とゴダール金井美恵子山口百恵インタビューが同居している。「季刊ジャズ批評別冊」の『私の好きな一枚のジャズ・レコード』は、「ジャズ批評」を含め、一挙に過去にジャズものを売った時期があって、買い戻したかっこうだ。『名演! ジャズ・ピアノ』もそう。「富岡多恵子の発言」は岩波、5巻の「物語からどこへ」という文学論のを買う。「私生活と私小説」収録。「ユリイカ」の『アーヴィング』特集号は持ってる感が強かったが、ちょうど読みたくて、まあ勝った。帰りの電車ではずっとこれを読んでいた。
家に帰るにはほんの少し早かったので、荻窪下車。「ささま」店頭で高平哲郎『スラップスティイク・ブルース』冬樹社は、いまやなかなか見ないバラエティブック。これも「月の湯」に出そう。河盛好藏『フランス語盛衰記 私の履歴書』も、持ってる感があったが、まあいいや。店内でも何か一冊買わなきゃ悪い気になって、小川和祐『「三四郎」の東京』を「坂と文学」を再開せねば、と自戒を込めて買う。これは420円だ。
そうそう、昨日、ABCで、古本の箱を、ちょっと並べなおしていたら、若い男の子の客に声をかけられた。ぼくのことは知らなかったみたいで、「なぜ新刊書店で古本を売るのですか」(何をやっているんですか、というニュアンス)と質問される。「それはね、」とあれこれ古本学をしばらく講義し、いくつか手にとって古本の見所を伝えた。そのとき、よくぼくのトークライブなどに顔を出していただく、ぼくよりは年上らしい男性が近づいてきて挨拶。少しコトバを交わす。『雑談王』はもう買って読んでくださったようで、「昔の文章がいい」とほめられる。「なぜああいう文章をいま書かないのか」とも言われ、そうだなあ、ああいう評論文体の文章はあんまり書かなくなった、と思う。それは書く場所がなくなったという単純な理由だが、同時に、ああいう緊迫感のある文章は、たしかにいま、よほど準備して、張りつめて仕事をしないと書けない。そうだなあ、こういう文章もなんとか場を見つけて、書いていかないとな、と思う。
五反田で「月の輪」が、サイン本を放出していて、200円でも数冊出ていた。帯のところに、サイン本と書いた手製の帯が巻いてある。てっきり、そのうちの一冊が「山田稔」だと思いこんで、なんでこれが残ってるんだ、と買って、家に帰ってみたら、山田智彦『魔の時間への旅』だった。帯で「山田智」という部分しか見えなかったので、早合点をした。タイトルも「時間への旅」という部分だけ、勝手に山田本を連想させるタイトルだと解釈したんだ。バカみたい。まあバカなんだけど。
10月3日、ラジオ関西に出演が決定。神戸へ行きます。深夜の「ラジオの街で逢いましょう」という30分番組で、録音になります。放送は11月18日とちょっと先。
ごめん、忘れてました。「yom yom 8」が届きました。「青」本です。「犬と猫と文学と」の特集で、ぼくは「犬が好き、それとも嫌い?」を書いてます。あれえ、まくらに使おうと思っていたネタを書き忘れてる! ぼくが書いた「ブックガイド」欄は、山本容子最相葉月千野帽子という才女才媛に囲まれて男子1人でちょっとうれしい。あ、川本さんも猫のエッセイ、書いてらあ。