多和田葉子『旅をする裸の眼』読了

一日中家にいて、一歩も外に出ない日だったけど、それでも暑かったねえ。ぼくの仕事部屋は地下で、こちらはひんやりしているから、ほとんどクーラーなしで夏を送るのだが、今日は除湿をかけた。一階へ上がると、空気が煎ったようにむーーんとしている。
教育誌のコラムを二本送り、「ビッグイシュー」はアーウィン・ショー『夏服を着た女たち』講談社文芸文庫を取り上げる。
午前から午後、「サンデー毎日」3ページものの原稿を、うんうんうなりながら書いて送稿。ここで力尽きた。
佐伯一麦『無事の日』新潮社、庄野潤三『ワシントンのうた』文藝春秋などを拾い読み、多和田葉子『旅をする裸の眼』読了。傑作だとは思うが、これを紹介すると、筋を追っても仕方がないし、なにか手を打たないとな。あれ、多和田葉子は小中と国立の公立学校を出て、立川高校を卒業している。黒岩比佐子さんの二つ下、後輩だ。こんな優秀な人たちばかりが棲息する、文筆業の世界のはじっこで、まがりなりにも凡才の自分がなんとかやっていけているのが、まったく不思議だ。まあ、なんとか、だけどね。
深夜、『四方田犬彦の引っ越し人生』交通新聞社を読み始める。これはTBS用にどうかと考える。関西育ちの著者が、上京し、異郷者の視点で変貌する前の東京の町のあちこちを、地誌学的、風俗文化的に考察する目がすばらしい。
また机のまわりが本だらけになってきた。