関西巡業2日目

okatake2008-06-25

関西巡業2日目は大阪、神戸。善行と9時前に阪急百貨店で待ち合わせ、阪急で梅田へ。地下街を通って堂島へ行くのに、どこをどう通っていいのか、迷ってしまう。途中、駅員に訪ねてどうにかこうにかたどりつく。二人とも大阪育ちのくせに、地下街で右往左往する。ジュンク堂島店は、かつて毎日新聞社のあった場所。岩下さんと落合い、動き出したエレベーターで2階に上がると、雑誌などでよくお見かけする福島店長が立っていて、お客一人ひとりに「いらっしゃいませ」と挨拶している。広い、広いフロアの文芸書売り場に、ぼくと善行の本を並べたコーナーを作ってくれていて、後ろを振り返ると「ナベアツ」の写真集。
担当の森川さんに挨拶。喫茶室に移動し、そこでサインを入れる。そのあいだ、森川さんも若い女性店員の方も福島店長も直立不動。10冊に作家の似顔絵とサインを入れる。ジュンク用のポップに文字を、工作舎特製のポップにもサインを入れる。ここでも本当によくしていただいた。「また、ぜひ何か一緒にやらせてください」とお願いをして、東西線にて天神橋筋商店街へ移動。東西線だけ初乗り120円と安い。
天牛と矢野書房を訪問。天牛では平さんに会えるかと思ったがお休みみたい。講談社文芸文庫花田清輝『恥部の思想』を350円で買う。「矢野」さんでは、レジ前にかかっていたデッサン(某著名画家のもの?)を「これ、いいねえ」と言うと、「○○○○円でどうですか」と言われ、驚いて買う。少女とみまがうような目元の涼しい「少年」を描いたもので、画家のサインが入っていないため、古本屋では扱いにくいということだったが、これなら無名の人が描いたものだっていい、と思う。この「少年」を抱えて、善行と昼はまたもやお好み焼き。ここがまたおいしいの。
この日、雨が心配されたが、じっさい、小雨はときどき降ったが、なんとかそんなに大変なことにならずにすんだ。神戸へ行くのは「トンカ」さんの取材以来。ああ、今回、トンカさんに寄れなかった。ごめん。三ノ宮で降りて、林哲夫さんの個展会場へ。坂をひたすら上る。タクシー会社の前、という場所に瀟酒なコンクリート建築が。あとで聞くと、アンドウタダオだ。林さんがヨーロッパ旅行した産物である、窓の連作を見て回る。壁のマチエール、矩形の窓が置かれた構図の切り取り方が林流。人影がまったくない。無音の世界。林さんに矢野さんで買ったデッサンを見せ、「これはいいですよ」とお墨付きをもらい、箱書きしてもらったような気分。
このあといよいよ海文堂へ。お揃いの『新・文學入門』のTシャツに着替えて、善行と満員の会場で90分ほど喋る。善行はしきりとトークは苦手、うまくいかなかったと反省していたが、そこにいたお客さんは「そんなことはまったくなかった。山本さん、おもしろかった」と思っているはず。事実、よく受けていた。サインにもたくさんの人が並んでくれて、見知った顔とともに、ここでも未知の読者と挨拶を交わす。うれしい時間だった。守口高校の同級生と30数年ぶりの再会というサプライズがあったのも、海文堂書店が生み出すパワーではないか。福岡店長、田中さん、平野さんに、またもやお世話になった。そして、いつもの打ち上げになだれこむ。ほとんど再会した同級生ナンバの「恋話」に終止した感があったが、一緒のクラスになったことがない彼が、なぜぼくの家に何度か遊びに来たか、そこで高校生のぼくがどんなふうであったかが明らかになる。へえ! を連発する。同級生は、知らなかった過去の自分を見せてくれるタイムマシーンだ。
帰り、打ち上げから参加した北村くん、三谷さん、猪花さん、善行と最終電車までスタバでお茶をする。北村くんがもらったばかりの「海鳴り」を食い入るように、ずっと読んでいたのが印象的。この前傾姿勢による文学へののめりこみは、ちょっと若かったころの、ぼくと善行を思い出させるのだ。
この2日間、どこへ行っても、熱く、大切に迎えられて、うれしいことがたくさんあった。幸福感に包まれた関西巡業だった。あらためて、各書店の方々、来てくださった人たちにお礼を言いたい。販促活動は疲れるけれど、これで読者が増えるなら、ぼくは毎日でもやろうと考えている。読者の反応を見ながらの喋りを、また文章にフィードバックさせていこうと思う。
善行とのコンビの仕事が、これから増えていくことを願う。
その山本善行が東京へ来ます。7月5日2時から三省堂神保町本店でトーク&サイン会。夜7時半から高円寺「コクテイル」でトークと古本オークション。そして翌日は、以下の企画が。クルーンに匹敵するスピードによる、均一での「神の手」を、ぜひ自分の目で目撃してください。古本の腕前が2、3段階上がります。


ゴッドハンドと行こう古本ツアー

均一棚からあっと驚く本を抜く「ゴッドハンド」こと古本ソムリエ・山本善行さんと
行く都内半日古本ツアー。普段あまり行く機会のない穴場古本屋さんを皮切りに、均
一棚が充実したおなじみの古本屋さんなどをめぐります。終点は池袋・古書往来座
市。岡崎武志さんも午前中のツアーと打ち上げに参加します。

時:7月6日(日)午前10時〜午後5時(雨天決行)
ルート:東京都内
参加費用:500円(移動交通費・食事代は自前でお願いします)
人数:20名限定
お申し込み:以下のアドレスにお名前、メールアドレス、ご連絡先を明記のうえ、
「古本ツアー参加希望」のむね、お申し込みください。
daikonkai@gmail.com


では、では。