だが何もしない/うっとりと

okatake2008-05-14

まるで梅雨に入ったような、雨、雨、雨。そして寒い。
13日の午後、日経新聞の取材を受ける。古本を売る、というネタ。若い女性記者相手に一時間ばかり喋る。
国立「ブ」で、谷川俊太郎詩集『minimal」思潮社を600円、SFパニックの古典「地球の危機」DVDを500円で買う。後者は「宇宙家族ロビンソン」「タイムトンネル」などを手がけたアーウィン・アレンの製作監督作品。地球上空が燃え始め、滅亡の危機を、原潜シュービュー号が救う。シュービュー号の造形、原潜内の計器類、SF技術などは大したものだが、ドラマ部分はお粗末。
「古本センター」ワゴンでCDセールをやっていて、ライ・クーダーパリ、テキサスサウンド・トラック盤を買う。
谷川俊太郎詩集は俳句、あるいは中国旅行での体験、漢詩などの同調から、行脚の短い、三行一連の詩を書き続け「ミニマル」と名付けた。それに英詩対訳をつける。ひとつ引いてみよう。
 「座る」
 ソファに座っている/薄曇りの午後/剥き身の蛤みたいに
 しなければいけないことがある/だが何もしない/うっとりと
 美しいものは美しく/醜いものも/どこか美しく
 ただここにいることが/凄くて/私は私じゃなくなる
 立ち上がって/水を飲む/水も凄い


どうやったって詩が書けてしまう谷川さんが、一度、腕を縛って、不自由を課して書いたような詩なんだが、それでも谷川詩になっている。ちょっと「旅」の連作を思い出す。
ぼくもまた「しなければいけないことがある/だが何もしない」日が続き、こうしてパソコンの前に無用に座っているだけだ。