南湖さん、「ほん吉」などなど

okatake2008-05-05

今日、また不忍ブックストリートへ。なんか、たてづつけ、だな。旧安田邸で、旭堂南湖さんの「ふるほん講談」の会。ナンダロウくんの司会。NEGIさんはお友達とすぐ後ろに座り、見知った顔もあちこち。すっかり、不忍になじんでしまった。前の方の空いた席に座ると、「あ、岡崎サン」と声をかけられ、話をすると、以前「クロワッサン」の取材を受けた編集者の方だった。『女子の古本屋』も読んでいただけたそうで、話がはずむ。落語を趣味でやっておられるとか、で芸名のついた名刺をもらう。
南湖さんが、講談を終え、最後、持参した古本の振り市をする。その見本をぼくにやってほしいと、きゅうきょ司会進行のナンダロウくんに頼まれ、しゃしゃり出て、「不思議(はてな)」で買ったばかりの古本で、やってみせる。その責任もあり、振り市では、なるべく声をかけ、2点を落とす。
このあと下北沢へ。ついに「ほん吉」へ行ってきた。いい店でした。下北沢へ行く回数が増えそう。この話は「彷書月刊」で書く。写真は、振り市でおとした藤本和也さんのマンガ原画。
帰り、国立「デ」で、友部正人「1976」を買う。これは、1976年発表された「どうして旅に出なかったんだ」という名盤を、名エンジニア吉野金次によるリマスター、ほか未発表曲を加え、再発したもの。自主制作、というかたちなのは、ここに「びっこのポーの最後」という、差別用語を含んだ曲が入っているから。ぼくは、このLP盤を当時、繰り返し繰り返し聞いたものだった。スカイドッグブルースバンドのバックとの息もぴったりで、友部の詩と曲もどれもいい。
「はじめぼくはひとりだった」から、こんな言葉を。

 一度だってさびしいと思ったことはなかった
 生きていることは愛なんかよりずっと素敵なことだった
 話しかけるのもぼくならば
 それに答えるのもぼくだった
 目の前を貨物列車が走りすぎて行った


夜、BSで黒澤明「野良犬」を、またまた観る。7、8回目ぐらいか。銃を盗まれた若い刑事(三船)につきまとわれ、音をあげた女スリが、三船にビールと食べ物を持って近づき、ごろんと仰向けに寝転んで、夜空の星を見て、「20年も星があるってことを忘れていた」みたいなセリフをいうシーン、責任を感じて神経をすりへらす三船に「もう一軒、つきあえ」と、志村喬が自宅へ連れていくシーン。いいシーンがたくさんあって、それを確認するためだけでも、何度でも見直したい映画なのだ。