「ブ」スパイ潜入作戦

okatake2008-04-26

雨の土曜日。妻は留守。娘と昼飯食いがてら、自転車こいで立川栄「ブ」。こないだうちから、ヒゲを剃ってなくて、おまけにジャージの上を着て、錆び付いた自転車を漕いでいると、娘が「お父さん、ホームレスが盗んだ自転車、漕いでるみたい」と言う。立川栄「ブ」はセールもなく、収穫なし。昼食時に読む本がないので、とにかく村上春樹訳『偉大なるデスリフ』新潮文庫のみ拾う。まあ、たぶん持ってるんだが、意外に見ない、ということで。いつもは隣りの「サイゼリア」で食べるのだが、もう飽きて、別の隣りにあるイタリアンレストランへ。こっちのほうが、ちょっと本格的。じっさい、スパゲティもうまかったな。オリーブオイルをたっぷり使ったパンというのが、めちゃくちゃうまくて、何もつけずともじゅうぶんおいしい。
店を出たら、娘が「おかわり」というので、つまりもう一軒「ブ」へ行こうという意味なのだ。しかたない。今度は国立「ブ」まで自転車遠征。小雨が降り出したよ。こちらは文庫・新書のセール中。ちくま、講談社文芸などにめぼしいものなく、講談社英語文庫の村上春樹風の歌を聴け』が「ブ」では、ちょっと珍しい(現在でも流通しています)。400円が200円。その他、岩阪恵子『台所の詩人たち』岩波書店などを買う。ちょうど新人の店員を教育している場面に出くわし、耳をそばだてて聞く。半額の棚から105円に落とすのは、1汚れ、傷み本 2ダブり 3シールの色(赤、黒、緑の順にローテーション)。あと、「純文学も落としてくれ」と思わず小声でささやきそうになる。そのほか、一時期よく売れた本も落とす。「セカチュー」とか、なんとかとか、あと「ソフィーの世界」って知ってる? 新人は知らなかった。渡辺淳一も落とす。ただし「アイル」……愛の流刑地、はまだ売れる。乙武くんも、初めっから105円。などなど。おもしれええ! よっぽどメモを取ろうかと思った。
古本漫才コンビ「カネコウノ」のコウノをスパイで「ブ」へ送り込んで、ちょっといろいろ偵察させてこようか、などと考える。
あれこれ買って、レジで精算したとき、仕入れで新書棚から買った渡辺ゆき『日曜日のうちごはん』が、200円のはずが、シール通り800円で打たれる。あれ、っと思うと、店員も気づいたらしく、しばらくシールをじっと見て、「あのう、これ、31(新書のナンバー)で打ってますが、こちらのミスで単行本なんです。だから、単行本の値段になりますが」とぬかす。かああああっとなる。そっちのミスやろ、という思いをこめ、「そんなこと知るか。新書の棚にあった」。と大阪弁で脅す。あわてて「ああ、わかりました」と200円で打ち直した。
あぶないねえ。そのうち、「ブ」のレジで暴れ出すかもしれません。
えー、昨夜、工作舎の石原サンがきて、対談本『新・文學入門』で掲載する書影用に、ぼくの書庫から、本を探して持っていく。いや、大変だったよ。とにかく、ゲラも返したし、6月には出ると決まった。澄ちゃんから、カバーデザインのラフスケッチも届く。へえ、そうなるか。なるほどね。これも楽しみ、だ。
「インビテーション」用の書評本、宮脇俊三『「最長片道切符の旅」取材ノート』新潮社、と宮脇特集の「小説新潮」届く。
晶文社バラエティ本に、「エン・タクシー」掲載の「拓郎に向かって走れ」を、倍くらいの枚数に加筆して入れることを考え、ひたすら加筆する。ぼくにとっての、まとまった拓郎論になるはず。
なんやかや、夏まで、腰まで泥まみれの行軍が続く。