ハマダくん『三國一朗の世界』

okatake2008-04-24

家族のみんなが寝静まった深夜、階段を、コロコロと玉の転がる硬い音がする。ネコが、スーパーボールを転がして、落としているのだ。
今朝、TBS。川本三郎さんの『向田邦子と昭和の東京』(新潮新書)を紹介。森本さん、向田さんに会ったことがある、とエピソードを。NHK時代、青山のマンション近くで取材を終え、マンションまで送りに行った時、建物の前で、「このマンションがこちらに倒れてきそうな気がして、思わず、手で押さえたくなるの」というようなことをおっしゃったという。その翌年かに、向田さんは飛行機事故で死去。その第一報をニュースで伝えたのも森本さん。
ハイヤーで一度帰宅し、月2回の、骨の折れる仕事をなんとかぎりぎりで終える。すぐ、家を飛び出し、また都心へ。今度はサンデー毎日。車中、ブローティガン『芝生の復讐』読み継ぐ。本文活字までがよく見えてくるぐらい、いい文章。
「ささま」で、うらたじゅん作品集『真夏の夜の二十面相』630円、開高健『特装本 夏の闇』1050円、ホキ・徳田『文豪夫人の悪夢』主婦の友社。ホキは、ヘンリー・ミラー夫人。かつて「スリー・バブルス」の一員。「わわわ、わが三つ」の、あれですね。この主婦の友社本、例の質の悪い本文用紙に、新書変形ともいうべき本。1980年代、林真理子のルンルンを始め、渡辺和博金魂巻』など、独自の路線を作った、編集者の松川邦生の仕事だ。松川邦生の仕事の全貌を、集めてみたい。
彷書月刊」5月号は「特集 禁帯出」。青木正美さんの「古本屋畸人伝」が連載100回を迎え、記念インタビューが掲載されている。ぼくの「均一小僧の気まぐれ古書店紀行」が124回。10年を超え、一番長い連載となった。裏表紙の広告に『女子の古本屋』が。
浜(難しい字の方)田研吾さんが『三國一朗の世界 あるマルチ放送タレントの昭和史』を清流出版から上梓した。徳川夢声に脇役本、それに和多田勝。今回は三國一朗と、まったく無人の野を行く仕事をしている。尊敬に価する仕事ぶりだ。帯の紹介文を写しておく。
「ラジオの深夜放送DJの草分けで、テレビの草創期からアナウンサー、司会者、コメディアン、俳優として活躍した知性派のタレントの軌跡を、豊富な資料でたどった傑作評伝!」
もちろん、朝日麦酒のPR誌「ほろにが通信」の編集長時代のことも書かれている。ハマダくんが手をつけなければ、いま、三國一朗のことが、本になるなんて、まずもって想像しにくい。それほど微妙な存在なのだ。つまりどの分野でも、強烈な印象を残すような、群を抜いた業績を残したわけではない。この道一筋、という人に比べ、分が悪い。つかみどころがない。そんな存在を、粘り強く、資料を蒐集し、人物像を組み立てている。
中日・阪神戦、とうとう最後(12回、引き分け)まで見てしまった。今夜はもう寝ます。