雨の長い一日

okatake2008-04-19

18日は長い一日だった。外は雨。支度をして外出。午前9時ごろ中央線に乗り込むが、武蔵小金井でストップ。一時間、車内で立ちっぱなしで待つ。隣りのホームで停まっていた車両が、早く出ると放送があって、みなそちらへ移動。しかし、殺人的な詰め込みになることがわかっているので、いまいる車両で待機。五反田に着いたら、もう11時半近い。もうこうなったら、欲も功名心もなく、古書展を覗く。帰りかけの、傘をさした黒岩さんと立ち話。いつものことだが、「お互い、身体に気をつけてがんばりましょう」と、エールを交換。
ほとんど200円、少し300円が混じり、あれこれ買う。中井英夫『悪魔の骨牌』、池島信平『雑誌記者』(花森安治装幀)など、いずれも単行本。700円で、フォア・レディース寺山修司『ひとりぼっちのあなたに』は、ちょいと背が焼けてるが初版で、検印に、寺山という判子が押してある。これは、ぼくがすでに持ってる同著の検印とまた違う。岸部シロー岸部シローのお金上手』なんて本は、破産し落ちぶれた貧乏人となった今、読むほうがおもしろい。アメリカングラフティのヒットに合わせたらしき、ペーパーバック仕様の『雑学少年アメリカ百科』は、松山猛の責任編集。あと、富澤一誠のどうでもいいフォーク本。秋田書店の「ぼくらの入門百科」『たのしい切手』は、たしか小学生の時、持ってたなと思い買う。あと、ユリイカがたくさん出てて、「つげ義春」のみ買う。仕入れ、だな。
古書展会場で学研の中村くんと待ち合わせ、例によって新書の打ち合わせ。いつもいく「ジョナサン」が混んでて、駅前路地を入ったイタリアンレストランへ。ここは穴場。表通りからわかりにくいが、店員の立ち働く姿を見て、いい店とわかる。スープ、サラダにパン、それにパスタ、食後のコーヒーがついて980円。ずっと席は埋まっていた。「シャングリラ」っていったっけ。
竹橋へ移動。サンデー毎日で仕事。『早稲田文学』復刊号についての書評、珍しく担当の岩尾さんから、直しが入って、あれこれ相談しながら原稿を調える。でも、この方がよかった。
神保町へ移動。雨はやまない。東京堂で、『女子の古本屋』が3位に入っていることをウィンドウで確認。コミガレで6冊買う。辻腹登『百合の心』(講談社)は、文庫にもなってないはずで珍しい。江藤淳『懐かしい本の話』も、いまやあんまり見なくなった。ほか諸々。
「ぶらじる」で集英社新書の忍穂井さんが来るまで、ひと休み。漱石『それから』を、坂巡り用にチェック。忍穂井さんが来て、坂についての新書、仕切り直しでゴー。忍穂井さん、例『坊っちゃん』生原稿を新書にして当てた人で、次は太宰の『人間失格』をぶつけるらしい。その裏話など聞く。これからは月一度くらい、お目にかかりましょう、と約束して、また雨の町へ。今度は新宿へ移動。この夜のことは、ナンダロウさんが日誌に書いているのでそちらを。いやあ、疲れました。
それなのに今朝、6時に目覚め、朝食をとり、二度寝。昼飯食べがてら自転車で鷹の台へ。玉川上水沿い、風は強いが、緑がきれいで気持いい。年に一度ぐらい入る洋食屋で、チキンカツカレーと豚汁という定食。豚汁はどんぶりみたいなのに入っていて具沢山。これで480円だったか、安い。
「松明堂書店」で、談春の『赤めだか』をぱらぱらと見て、文庫の棚に移動したとき、年輩の男性が飛び込んできて、紙袋から「これと同じ本を」と、『赤めだか』を出した。女性の店員が、思案しながら、本棚を見てまわり「うーん、ちょっと……」と言うので、おせっかいかと思ったが、「ここにありますよ」と教えに行った。「あ、あ、どうも。ありがとうございます」と店員に礼を言われたが、客の方は変な顔でぼくを見ていた。この人はいったい何だろう、と思ったか。買い忘れていたブローティガン『芝生の復讐』新潮文庫を買って、近くの喫茶店「シントン」で座って読む。すぐ目の前、ガラスの向こうを、黄色の西武電車が走っていく。