小川国夫死去

okatake2008-04-09

川上弘美さんから『風花』(集英社)届く。『真鶴』は本当によかった。それに続く、長編恋愛小説ということになる。 
中央公論新社から茂木大輔『拍手のルール 秘伝クラシック鑑賞術』送られる。クラシックの楽しみ方を伝授。
工作舎山本善行との対談本『新・文學入門』ようやく、いったん手を離れる。まだゲラチェックやら、本の書影撮影など仕事は残っているが、とにかく大きな前進。
先日からパソコン画面、暗く、文字が見づらい。パソコンの師匠、工作舎のSさんにSOSのメール。なあんだ、そんなことか、という簡単な解決法を教えられる。
小川国夫死去。80歳。いま、もっとも古書価の安い一人ではないか。のきなみ100円。署名入りが1000円で目録で出ていた。ひさしぶりに角川文庫の『アポロンの島』を出して読む。このころ、いちいち買った本に、買った日付を書いていて、昭和52年7月12日に買っている。水曜日。自分の氏名印まで押している。奥付に読了の日付があって、2回目が80年10月31日、3回目が83年1月27日。少なくとも3回、読み直している。ひさびさに少し読んだが、やっぱりいいよ、『アポロンの島』は。
「エリコへ下る道」。房雄のオートバイがエル・バーラムをはねる。
「エル・バーラムの体は黒いアスファルトの上に、緑色のシャツと、紺のズボンに覆われた堆積のようだった。倒れたことを静かに主張していた。目がくらみそうな陽光をエル・バーラムの丸まった体は吸い込んでいた」
光源が強く、すべての光と影のコントラストを映し出してしまう硬質な文章。志賀直哉を経由した、適確な散文は、二十歳だった僕の目を射た。このころ、大江や開高、梶井基次郎など、何を読んでも新鮮で、いちいち感動していた。文学、文学と熱にうかされたように呟いていた。その中にいた小川国夫。角川文庫、集英社文庫講談社文庫、新潮文庫と、みんな「文芸」とつかない、ふつうの文庫でふつうに、小川国夫が読めた時代だった。
もう十年ちかく前、阿川佐和子さんを取材するため、有楽町マリオンの中の朝日新聞社の喫茶室へ赴いたとき、ちょうど小川国夫が来ていた。初めて実物を見た。髪は白くなっていたが、痩身で、めちゃくちゃハンサムだった。江藤淳には「フォニー」と批判されたが、小川国夫、初期の作品は自信を持って、いいと言える。『アポロンの島』はしばらく、持ち歩いて読むことにしよう。
そうそう、春の「一箱古本市」のマニュアル一式届きました。いよいよ、だ。ぼくたち家族は、「ファーブル昆虫館」に出店。5月3日です。ぜひ、お出かけください。5月3日は「外市」とも重なっているし、どうも不利だが、なんとか4月27日組に負けないようにしたい。
今回は、二回に分かれたし、イベントも目白押しで、ぼくだって、加藤千晶さんのライブ、旭堂南湖さんの「ふるほん講談」にも申し込んだから、なんだか、しょっちゅう不忍ブックストリートにでかけることになった。