生きていてもいいですかと誰も問えないエレーン

okatake2008-03-30

「読書の腕前」講座の話、ですがね。150人もの、あきらかに老年寄りの老若男女、見知らぬ人を前に喋る。ぼくはわりあい、人前で喋るのが慣れていてうまいと思われているようだが、そんなことはない。非常にキンチョウするし、頭が真っ白になったりする。しかも、聴衆のみなさんが、熱心で、なにごとかを学んで帰ろうという姿勢で(もちろんそれはありがたいが)いるため、その「気」の塊に、圧されてしまう。
二部のトロさんとの対談も、時間配分や、話の流れを作りつつ進行し、発言もするため、ひどく気が張る。終わって、ほっとする。
トロさんに、終わってから、「岡崎サン、放心状態ですね」と声をかけられたが、まさしくその通り。気を失いそうなほど疲れるのだ。しかし、光文社宛に速達で届いた封書を、森岡サンから受け取り、それが、塾で中学生を教えている女性が、兵庫県の入試問題で『読書の腕前』の文章を読んで、本を買ってくれて、読んで、すぐさま筆を取って光文社宛に送ってもらったものだと読んで知って、疲れは吹き飛ぶ。入試問題に自分の文章が使われたことはうれしいが、それが、本の売り上げを含め、どれほどの効果のあるものか、と思っていたが、こういうヒトがいること、勇気づけられる。私信なので引用はしないが、それは著者が揺さぶられるような手紙だった。少し寿命が延びた。お礼の手紙を書く。
午後、晶文社のSさんが、ゲラを持って来宅。ついに晶文社からぼくのバラエティブックが出る。映画、落語とお笑い、美術、それに文芸評論が柱で、短いコラムがそのあいだに収まる。これまでのぼくが本にしてきたのとは、また違った角度、ジャンルの文章が入る。あれこれ、一挙に仕事が押し寄せて、なんとか乗り切らなくては、本当の春は来ない。
「エン・タクシー」最新号とどく。吉田拓郎特集に文章を書いているが、あまりに気が入りすぎた文章なので、恥ずかしくて読めない。
山本との対談本、ゲラに手を入れる。締め切り過ぎた2本の原稿、ううん。やるしかないでしょう。