みぞれまじりの京都なら

okatake2008-02-28

昨夜遅く、関西から戻る。バス停に妻と娘がいる。渋谷でスピッツのコンサートを見ての帰りだという。待ち合わせたわけではないのに、家族で夜のバスに乗る。
26日、午後の新幹線で京都。京都は雨、のちみぞれまじりに。寒い。河原町周辺の新刊書店で『ベストセラーだって面白い』をチェック。みんな、いい場所に置いてくれていた。澄ちゃんの装幀、他を圧して目立つ。しかも好ましい存在感。あの人、この人の砂金掘りがあり、ゴールドラッシュ後のような三条「ブ」で、鈴木いづみ『女と女の世の中』ハヤカワ文庫を拾う。これ、珍しい。
夜は、弟の店「ディラン・セカンド」で山本善行と飲む。にぎやかな女性客3人がいて、飲み、喋るが、うるさいという感じではない。店に入ったとき、拓郎「伽草子」がかかっていて、陽水「氷の世界」、加川良「アウト・オブ・マインド」と、よく聴いていた70年代の名盤が次々と流れる。
翌朝、実家を早く出て、この日、講演をする枚方へ。牧野で途中下車。ぼくが生まれた町であり、すぐ引っ越すが、中学時代にまた戻ってきて1年と少し、住んだ町。駅前の風情はむかしそのまま。地図を見ながら、枚方三中まで歩いてみる。途中、小さな丘を越える。こんな坂があったかしらん。大きく「く」の字で曲がる箇所など、記憶にまったくない。母校の校舎はそのまま。校門前のパン屋を見て、やっと「ああ、そうだ」と少し記憶がよみがえる。道路は舗装され、家や建物が周囲に立て込んでいるが、むかしは土の道で、ずっと田畑を見渡すという印象。通用門から校内に入り、職員室で、校内見学の許可をもらおうと行ったが、試験中とかで断られてしまう。すごすごと退散。しかし、訪ねてよかったと思う。13歳から14歳の記憶が少しだけよみがえる。
枚方市駅に隣接したビル内の生涯学習センターで、枚方出身者として話をする。聴衆は30名くらい。平均年齢はめちゃくちゃ高い。なかに数人、最初から最後まで眠っている人もいた。なにしに来たのだろう。にとべさんの姿を発見、昨年の大阪「読書の腕前」トークショーにも顔を出してくれた、三中の同級生も最前列に座っている。質疑応答を含め2時間近く喋る。
担当の教育委員会のNさんが、5歳上だが、枚二小から四中、とぼくと同じコース。しかも枚二の5、6年担任が重村先生、とこれまたぼくと同じ。『つづり方兄妹』の話をしたが、聴衆の中に、その『つづり方兄妹』の原作本を、ちょうど持ってきている人がいて、驚く。講演を無事終え、にとべさんとお茶。駅南口にスタバがあったが、そこはこの日さんざん話した「駅前デパート」のあった場所なり。にとべさんと別れ、枚方にできた「ブ」を覗く。遠藤周作『異邦人の立場から』講談社文芸文庫のみ拾う。京都へ戻り、蓬莱の豚まん、シューマイ、餃子をお土産に買い、新幹線に乗り込む。車中では、京都で買った『文藝春秋』と、『ハドリアヌスの長城』を読む。
今朝、TBSを終え、帰宅してからまた国立へ。もと未来社のKさんが、朝日新聞の書籍編集部に移り、書籍の企画で打ち合わせをする。まだ、ものになるかどうかわからぬが、決まればおもしろいことになる。あの人、この人を巻き込んで、と夢想する。サンデー毎日、『乳と卵』書評を書いて送付。あちこちから電話、メール、ゲラが。息詰まる明け暮れが始まる。
川本三郎さん『東京暮らし』潮出版社武藤康史さん『文学鶴亀』国書刊行会を贈られる。どちらも、読みたかった本なのでうれしい。前者に、天三「矢野書房」の紹介とともに、『気まぐれ古書店紀行』への言及あり。後者は、いつ刀を抜くか、誰もが見守った大物が、ついに、という印象。あちこちに書評が出るだろう。

月の湯古本市、岡崎武志トークショーの予約が3月1日から始まります。
ご予約の方は、以下にアクセスしてください。
外市でも予約可能、だそうです。よろしく。

http://d.hatena.ne.jp/wamezo/20080216