つまんない男だよ

okatake2008-02-08

月に2度の、集中力を要する原稿を書く。午後、はじかれたように国立へ脱出。ひさしぶりに「谷川書店」へ。阪田寛夫『わが町』(晶文社)は、灘本唯人の装画によるカバーで、晶文社の本らしくない。大阪の町を章題にして綴った、阪田の自伝的連作長編。これが350円。それに『多田道太郎句集』を300円で買う。
辻原登『遊動亭円木』文春文庫を読み始めたが、これも抜群におもしろい。盲目の落語家を主人公にして、摩訶不思議な世界が繰り広げられる。しかし、文章が巧いなあ。いま六〇代の作家としては、頭一つ抜けてる感じだ。
晶文社の本の初校ゲラも上がったと連絡が。まだ、新稿とカットをたくさんかかなくてはならないが、とにかくゴールが見えてきた。
夜、家族で買い物へ。どうも土日に雪が降りそうなので。すると、スーパーのパン売り場も総菜コーナーもほとんど品切れ。鍋にしようと材料を買おうと思ったら、ネギが売り切れ。みんな、考えること、同じなのだな。
台所で、妻と娘が、ホウ酸を使って茶渋を落としている。「おとうさんもやれば。おもしろいよ」と声をかけられるが、「いい」と言うと、なんだか二人でキャッキャッ笑っている。後で聞いたら、「ほんとに、古本しか趣味がなくて、つまんない男だよ」と娘が言ったというのだ。
CSで「モンスター」を観る。劣悪な環境に育った娼婦(シャーリーズ・セロン)がレズビアン若い女の子と、旅に出るが、その途中、殺人を繰り返すという実話をもとにした映画(どうも、要約がうまくないが)。このヒロイン、シャーリーズ・セロンはこの役でアカデミー主演女優賞を受賞。眉を剃り、でぶついた身体に、タバコをふかし、なにかというと悪態をつく、という汚れ役。そうとう、役作りで過激に顔やメイクを変えたというので、名前をうちこんで検索したら、あらら、大変な美女。「サイダーハウス・ルール」にも出ていた、というのだが、すぐには思い浮かばない。
多田道太郎句集』、若くして逝った人権弁護士の娘・謡子に贈る句がある。

 ほら穴よ母のピアノにただよう子

もちろん、「ただよう子」は多田謡子にかけている。