雪、神楽坂、自虐の詩、あなたの船

okatake2008-02-07

6日、またもや雪。それが雨に変わって。神保町経由ではなく、直接「竹橋」へ。サンデー毎日
終えて、飯田橋「ブ」を経由して、ギンレイ。「自虐の詩」一本だけ見る。あの業田良家の名作の映画化。もともと映画化なんて、誰も思いつかなかっただろう、四コマ漫画を、ぼくはよくこれだけ映画として成立させたな、と感心した。ドラマとして作り過ぎだろう、という批判はあるかもしれないが、いや、ある程度ドラマを作らないと2時間は持たない。なにより、あのちゃぶだい返しの、食べものや汁ものが飛び散る飛沫のスローモーションが美しい。それと中谷美紀。よかったねえ。悲惨な中学生時代を演じた女の子(誰だろう)もよかった。じつは、3回ぐらい泣いてしまった。
エンドロールを見ずに、映画館を飛び出し、坂崎重盛さんと待ち合わせ、神楽坂の路地にある「トキオカ」という小体ながらシャレた料理屋へ入る。ここで、『東京読書』の取材。いい音でクラシック音楽が流れ、突き出しがチーズにはちみつ、ほかに焼いた空豆など、食べ物も気が利いていておいしい。ほかに若い客が二組ほどあったが、カウンターで楽しそうにしている。若い人が、こういうふうに落ち着けるカウンターの店っていいもんだ。
厨房に入ったメガネをかけた男の子が、ちゃんとぼくの本を読んでくれているのに驚いた。それだけで、いい店ですよ、「トキオカ」。
雨に変わった神楽坂を少し歩き、坂崎さんと別れ、もう少し、誰かと喋りたくて高円寺「コクテイル」ヘ。雨なのに、お客さんがけっこう入っていた。ぶらじるマスター竹内くんがいたので、隣りに座って喋る。途中、長髪の年輩の男性が若い女性と入ってきて、狩野くんが女性ボーカルのCDをかけたのだが、そのなかに「あなたの船」が入っていて、思わず一緒に歌ってしまう。「これ、渡辺勝の名曲だよ」と言うと、狩野くんが、「あちらにいるのが渡辺さんです」と、先の長髪の男性を指すので、えええ!と驚いて直立不動。そんなことあるんだ。
今日は、少し仕事をして、筑摩から『女子の古本』の再校ゲラが帰って来て、まだ積み残しの仕事がある。「週刊ブックレビュー」で取り上げる本の候補をメールする。直木賞受賞作、桜庭一樹『私の男』が送られてきて、これは「中央公論」用。

ああ、「あなたの船」の歌詞を書いておこう。言っておくけど、何も見ずに書けるんだぜ
「あなたの船」渡辺勝 作詞・曲

坂を登れば潮風が わたしの髪をとかして
遠く見えるは幻か あなたの船とあの歌
あれから三年過ぎたわ 町は回る風車
汚れた指輪見つけたわ あの日のあなたと私
自転車に乗って坂を登れば あなたの船が待ってる
今日まで 今日まで 私は生きてたわ

口笛ふいてね あの歌を あなたの香りがするわ
雨降る波間に あなたが泳いでる
ハイウェイの風は私を 町へ町へと急がせる
あなたは私の身体にしみ込んでは来ない