おお、マレーナ!

okatake2008-01-26

ええ、今月ももう少しで終りか。今年も残り少なくなってきた。
で、24日の話だが、まず原稿を一本書いて、これは教育誌(3誌に書いてる)の一つ、古本ネタの連載。林光一『ルンペン学入門』ペップ出版を取り上げる。戦後まもなく浅草でルンペンになった著者は、親が医師で、自分も早稲田から銀行へ就職した人物。酒と女におぼれて使い込みをし、転落していく。
この日は、夜、澄ちゃん邸でのちょっと遅い新年会にお呼ばれがあるので、それに合わせて行動。その前に「ギンレイ」で映画を2本見よう。そうすると、ちょっとの時間だが、神保町へ寄って古書会館の即売会が覗ける。
買ったのは、こないだ五反田で日本評論社の日本プロレタリア傑作選集の村山知義を買ったが、同じシリーズ、片岡鐵兵『太刀打ち』を500円で、これは扶桑書房。もちろん、都市モダニズム文学として読むのだ。このシリーズは軽装、小型本のペーパバック仕様ながら、手にもった感じがいい。
高田渡詩集『個人的理由』ブロンズ社は200円という安さ。3冊目かな、仕入れだ。亀山巖の限定本『中野スクール』が300円。これは革特装本もあるみたい。清水俊彦『ジャズ転生』晶文社は月の輪から200円。島崎勉さんの編集。
コミガレヘ移動。NMM別冊『死者のカタログ』湯村輝彦装、が欲しかったのだが、ほか2冊がなかなか決まらぬ。なんとか深沢七郎『盆栽老人とその周辺』、星新一『おかしな先祖』で500円。星新一和田誠真鍋博と組んだ単行本はこれから値上がりするのではないか。
キッチン南海」で珍しくすぐ座れ(そのかわり待たされ)、地獄で何万年も悪魔が煮込んだような真っ黒なカレー(かつカレー)を食べる。急いで飯田橋へ移動。降りる出口を勘違いし、ギンレイが遠かった。この日は、「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督の未見の2本。「マレーナ」と「題名のない子守唄」。ぼくはどちらも堪能したなあ。前者は戦時下のイタリアで、半ズボンで自転車を漕ぐ12歳の少年が、町でとびきり美人のマレーナに恋をする。シチリアの海辺の町を、マレーナが行けば、男たちの目は釘付け。少年は噂で汚されるマレーナを「ぼくがあなたを守ります」と決意する。やがて戦争がマレーナに運命のいたずらをし、少年は成長する。一言も口をきかないまま、ラストシーン、マレーナがこぼしたオレンジを拾い、最後の最後に口にしたのが「お幸せに、マレーナさん」。
「題名のない子守唄」はミステリータッチの作品。女性の数奇な運命、覗き、引き裂く愛、離ればなれの二つが出会う、など「ニュー・シネマ・パラダイス」から通低するテーマ。最後、お約束だが、このシーンで、観客は本当にほっとして、安らかに席を立つことができる。見事な語り口とタッチだな。
また、いつもコンビの音楽、エンニオ・モリコーネが、胸元を締め付けつつ、揺さぶり、解放するような切なく甘美なメロディーで盛り上げる。
夜は寒風吹きすさぶ中、澄ちゃん邸で「だいこんの会」の初期メンバーたちと、澄ちゃんお手製の料理と、持ち寄りの酒で楽しく酒盛りをする。
その前、電光石火で「ささま」を経由、均一から江藤淳随筆集『夜の紅茶』を買う。これ、これまでに買っては売りで、三回目ぐらいの購入なり。精興社の活字がいい。
これから、映画館で見た映画は、古本で買った博文館日記にメモしていくことにした。