ちゃんと読書、してくれ

okatake2007-11-08

昨日の晩、BSで「いつか読書する日」(で、よかったかな)、田中裕子主演の映画を見た。もちろん「読書」ってところがポイント。舞台は長崎。田中裕子は50歳で、ずっと独身。男っけはない。朝、牛乳配達、昼間はスーパーで働いている。楽しみはベッドで就寝前に本を読むこと。彼女の部屋は壁一面が本棚だし、朝、新聞を読みながら出版広告から、気に入ったのを切り取るのが日課だ。彼女には同じ町に住む、寝たきりの妻を抱える同級生(岸部一徳)がいて、高校時代は恋仲にあったが、二人の親が不倫をし、交通事故で死ぬ。以来、互いに思いながら、磁石の両極のように距離を置いている。まあ、そんなふうに話が動いていくのだが、ぼくはやっぱりつまらなかった。どこがって、田中の叔母が作家で、やはり痴呆の夫を抱え、岸部は市役所勤務だが、育児放棄をしている母親に関わろうとしている、っていうんだが、なんか、あれこれ詰め込み過ぎなんだよ。「いつか読書する日」っていうんだから、ちゃんと読書するところをもっと映してもらいたかった。あれだけ本があるんだから、本の出し入れをしたり、本棚の前に立って、本を選んだり、そういうたたずまいが欲しかった。スーパーの休憩じかんでも、あれだけ本好きなら、同僚とだべったりしないで、本を読むと思うんだな。
最後、岸部の妻(仁科亜季子、でよかったかな)が死に、田中とたった一度結ばれるんだが、そのあと岸部が水死する。どうだろ、そうするしか噺の終わりようがないからそうするんだろうが、田中裕子がかわいそすぎるじゃないか。いかにも、いい映画ふうに撮ってて、ある種の感興が残るのも否定しないが、人間ってものを、もう少し、ちゃんと見たほうがいいぜ。
TBS終えて、帰宅。一時仮眠を取って、サンデーのインタビュー原稿をあげる。昼飯くいがてら、恋ケ窪「いとう」へ寄り、文庫を2冊。フォークナー『サンクチュアリ新潮文庫は、旧版は持って居るが、改版され、カバーが変わるとまた欲しくなるのな。訳はいまベストセラー作家の加島祥造
家に帰ったら、また寝てしまった。夢うつつで電話をとり、「すばる」編集部から、書肆アクセスについての原稿依頼を受ける。大阪の大迫くんからは、新雑誌で本の紹介を頼まれる。入院中の患者に、晴れ、くもり、雨の日に読むそれぞれ2冊、というテーマ。また、けったいなこと考えてくるなあ。なんとかしましょう。
夜、買い物がてら、家族で「ブ」。ちょうど、川本三郎さんの『ミステリと東京』で、バリー・アイスラーという作家が紹介されていて、アメリカ人作家だけど、親日家で、東京にも住んだことがあり、東京を舞台にミステリを書いている。おもしろそうじゃないか。ビレッジブックスから出ている『雨の牙』と『雨の影』が105円で両方とも見つかって、これを買う。ほか数冊。
昼間も夕方も寝ちゃったからな、いまから追い込みの仕事だ。そんじゃ、な。