グッド・タイム・ミュージック

やがて雲はちぎれながら 空色を深め
透き通った心からの
ハガキが出せる気がする
(「残暑」松任谷由実


昨日はなんだったか。サンデー毎日終え、神保町「BIGBOY」に取材申し込みをするが断られる。「まだ始めたばかりで、ようやく常連客がついたところ。まだ自分たちの立ち位置も定まっていないので、取材はすべてお断りしているんです」と言われる。それはよくわかる。あっさり引き下がる。よくある「取材お断り」という高飛車な態度ではない。そういう店があってもいい。しかし、取材の方は困ったぞ。
近くのディスクユニオンで、斎藤哲夫『グッド・タイム・ミュージック』を見つけて、買う。まさにグッド・タイミングなミュージック。1974年の録音。若き日の白井良明(だと思う)が一緒にジャケットに映ってらあ。
夜、溜池近くのレストランで、TBS「スタンバイ」の暑気払いの会。それまで時間がある。取材予定の寺島靖国『疾風怒濤のJAZZオーディオ放蕩生活』(河出書房新社)を読む。オーディオ地獄の話。専門的な話はさっぱりわからぬが、ケーブルを替えるだけで、音が変わるとか、ついには、庭に専用の電柱を建ててしまったとか、底知れない耽溺の日々がつづられ、ひきこまれる。
スタンバイ暑気払いの会は、出演者お歴々が参加。ぼくはいつものとおり、保護者・荒川洋治さんの横に陣取り、食べて、飲んで、喋る。今野雄二さん、嶌信彦さんとも初めてちゃんと喋る。嶌さん、毎日新聞を45歳でケンカして辞めた時の話、じっと聞き入る。遠くのテーブルに、小林信彦が文春のコラムで絶賛する政治部の武田記者がいる。ハイヤーで帰宅。すいすいと1時間かからなかった。
23日、一日遅れで産経新聞書評、森詠『はるか青春』(集英社)を書いて送る。森詠、大学を卒業して数年、「週刊読書人」にいた。「図書新聞」「読書新聞」と三派鼎立の時代。書評紙がオピニオンリーダーで、安保世代や知識人に影響力があった時代のこと。
午後、国立「白十字」で、朝日新聞取材を受ける。蒼井優集英社文庫カバーのことを中心に、いま若い人のあいだで文庫がどう読まれているか、みたいな話。記者のNさんは、一橋大出身の才媛なり。
講談社「kING」という若者雑誌から原稿依頼あり。三島由紀夫『不道徳教育講座』について。ちょうど『はるか青春』に三島のことがたびたび出てきたのを読んでいたところ。