映画の続き

日曜日、高井戸。「だいこんの会」クークーさん宅におよばれ。高井戸改札で待ち合わせ、少し早くつき、ドトールでアイスコーヒー(大阪弁なら冷こぉ)。時間になったから改札へ戻るが人の姿なし。糸織ちゃんがきょろきょろしながら改札をくぐり、近づいてくるが、直前までぼくと気づかない。「白い帽子に、白い服を着てらっしゃるから保護色で壁と間違えた」というのだが、ありえない話だ。そのうち、案内役のノンちゃんさんほかがバラバラと現れ、肩に緑のオウムをのせたおばあさんを発見。一同興奮。「大阪では、オウムを肩に乗せた上に、一輪車に乗ってるおっさんがいるぞ」とぼくが変な自慢をする。
クークーさん宅はハイソなマンション。セキュリティのかかった玄関を解除して入ると、中庭が。全体に、ぜいたくな素材を使った建物で、緊張する。玄関でクークーさんに出迎えられ、奥の30畳はある、だだっぴろいリビングに行きつくのに、角を3回ぐらい曲がる。いったいどれだけ部屋があるのか。リビングのガラスの向こうはシュロの樹が生い茂り、プライベートプールの水がきらきら陽光で輝いている。ふかふかのソファに座ると、チャイナドレスを着たメイドさんがおしぼりと、きんきんに冷えた中国茶をグラスで運んでくる。どんだけ金持ち。正面の壁一面がスクリーンになっていて、そこにプロジェクターで映像が映せる仕組みなのだが、その装置は反対側の壁に組みこまれているようだ。一室で虎を飼っているらしく、「見ます」と言われ、一同ただただ畏まりながら、虎を見る。傍にターバンを巻いた若い男性が、グラムうん千円という肉を惜し気もなく与え、クークーさんが一声挙げると、男性は虎に食われた。……と、お気付きのように、みんなウソである。しかし、ハイソなマンションだったことは間違いない。
北條くんから、石田五郎サイン入り『天文屋渡世』(筑摩書房)をいただく。家族で夕飯の約束をしていたので、独りだけ早くクークー邸を辞す。行きとは逆に、浜田山まで歩く。住宅街を抜け、やがて井之頭線の線路が見えてくる。さっきまで映画を見てたので、自分がカメラになって、映画の続きを見ているような気がした。


ああ、11日「すむーす友の会」は誰でも参加できるんです。参加された方は、全員会員、という感じ。下鴨で買った古本を見せあったり、楽しく過ごそうという集まりです。古本ゴッドハンドの山本善行と握手して、パワーをもらいたい、という人はぜひどうぞ。スムース同人の各人から著書にサインをもらいたい、という人も、御持参ください。