あれこれ、あった2日間

18日(水)サンデーを終え、6時からの東京堂荒川洋治さん講演まで神保町で時間をつぶす。さぼうる近くにできたジャズ喫茶「ビッグボーイ」に初めて入る。けっこう席がふさがっている。目の前にJBLのでかいスピーカーがあるカウンターに座る。かかっているのは、カーメン・マクレエのボーカルCD。テーブル席が空き、そっちへ移る。その間、白髪、痩身のマスターが客と喋っている。客が帰る時は、ドアまで見送り、「また、おいでください」と声をかける。珍しいジャズ喫茶だ。コーヒー代650円は少し高いが、まあ一週間に一回、神保町でこの愉しみのためならいいか。
5時45分、東京堂へ。前から二列目に席を取る。たちまち客席は満杯に。平均年齢は高いなあ。TBSの聴取者かな。終って気づいたが、退屈くん、西秋くん、片岸さん、魚雷くん、往来座御一同も来ていた。荒川さんの話はいつもながら、ユーモア交えて、文学の危機を訴える。白熱、刺激的な講演なり。野方に下宿していた時、近くにいた耕治人の家まで訪ねた話がおもしろい。昭和十年代作家はみな小説だけでなく、詩論も評論も文学史も書いた。いまは小説を書く人は小説だけ。文学の読者がいない。
2時間があっというまに過ぎる。最後近く、「あ、会場に岡崎武志さんが来てますけど。先日、NHkに出ていましたね」と突然、荒川さんが発言し、びっくりする。いつも荒川さんは、こういう形で、後輩で無力な僕を引き立ててくれる。終ってサイン会は長い列ができた。
退屈くん、魚雷くん、西秋くん、片岸さんと飲みにいく。あとで、会場に来ていた「団塊パンチ」副編の森山くんが参加。この日、リニューアルした「団塊パンチ」を三省堂で見て、「うわあ、苦しい選択をしたなあ」と思ったところだったので。しかし森山くん、「だいじょうぶです、ちゃんとやります」と宣言。かつて信毎印刷にいたそうで、そこで紫陽社の詩集を作ってた荒川さんの話とつながっていく。
あと、西秋くんが、神保町の将来に危機感を持っているという話が印象に残る。最後に前田くん登場。神保町を盛り上げるため、「ふるほん王子」を退屈くんか前田くんに押しつけようと話をする。
遅く帰宅。ほとんど仮眠程度で、19日朝、TBS。三枝玄樹『結党! 老人党』(毎日新聞社)を紹介する。
この日、つまり今日だが、2時半から「ちくま」の取材で神保町「呂古書房」を訪ねるので、それまでの時間をつぶすため、飯田橋ギンレイホール」ヘ。この際だから、1万500円で、年間カードを作る。これで今日から一年間、見放題となる。モーム原作の「華麗なる恋の舞台で」、ソフィア・コッポラマリー・アントワネット」を見る。後者に感心する。あのフランス革命で断頭台に上ったフランス王妃の青春から最後まで描いて、キュートでポップで、いやはや大した才能です。これだけ、もう一回、見るかもしれない。年間カードを作ると、そういうこともできるんですね。マリーを演じたキルスティン・ダンストの魅力も大きく、寝姿で、これほど魅力的なバリエーションを作った映画はほかにない。
2時30分から「呂古書房」の取材。これまで何度も取材してきたが、知らない話が一杯出た。また、原稿にまとめるのが苦しく楽しい。