高橋恵子はテクニカラーのかがやき

舌の痛みほぼ、去る。昨夜は、ぼーっと、高島忠夫夫妻のうつ病克服をドラマ化したのを(松方弘樹高橋恵子)を見てしまう。そしたら、今日、国立駅ホームで高橋恵子を目撃。昨夜見たばっかりだから、注視してしまう。やっぱり、東京だなあ、とバカみたいに感心する。服装から雰囲気から、一般ピープルとはまるで違う。モノクロ写真の中で、一人だけテクニカラー、という感じだ。
電車が来て、同じ車両に乗り、隣りに座りそうになるが、一人置いて、になる。国分寺で知り合いが乗ってきて立ち上がり、迎えて、目の前に立つ。めちゃくちゃ細いの。お腹なんかぺっちゃんこだ。国分寺で特快に乗り換えてった。
舌が治ったもんだから、サンデー毎日編集部で担当のIさん相手にベラベラ喋る。こんなに喋るのはひさしぶりだ。
三省堂岩波文庫新刊、大澤正佳の新訳 ジョイス『若い芸術家の肖像』を買う。訳者あとがきを読むが、昭和七年、創元社刊の小野松二・横堀富雄訳の同書には言及しながら、先行する画期的訳業の丸谷才一訳には一言も触れていない。あれ、ジョイスを巡って、両者のあいだに論争があったんだっけ。それじゃなきゃ、ちょっと不自然だもんな。
神保町タテキンで、森鴎外選集(岩波の、新書サイズの)の「青年」が入っている巻に、「電車の窓」という短篇があって、それを読みたくて買う。ほか数冊。1966年の白水社の『新和仏中辞典』には、マリを蹴る小鹿の腹に「おくむら」と入った判が押してあって、それがあんまりいいので買った。こういう蔵書印なら歓迎だ。古井由吉『椋鳥』は黒い箱入の本で、その迫力に引かれ、300円で。
そしたら、荻窪「ささま」へ寄ったら、均一にどっさり古井由吉が出てる。もちろん『椋鳥』も105円だ。15冊はあったかな。あんまり在り過ぎて、買えなかった。しまったな。しかし、ささまで買った井上究一郎1050円が、そのあと高円寺・都丸で500円で売ってたから、やっぱりそういうことはあるのだ。
と言いながら『宇野千代『おはん』(木村荘八挿絵)、石川淳『新釈古事記』、尾崎喜八『自註 富士見高原詩集』など、箱入のいい本がのきなみ105円で、ううんとうなりがら抱える。信じられない光景だ。店内で、アルプス登攀の洋書写真集と、前川健一『異国憧憬戦後海外旅行外史』が525円。
野村くんと小沢くんが「青べか物語が入ったよ」とか話している。これは、先日、京橋のフィルムセンターで澄ちゃんたちが、川島雄三監督「青べか物語」を観て、原作の山周のを読みたくなったってことの流れだと思う。
その澄ちゃん訪ね、西荻「興居島屋」へ。帳場に座っているところを写真に撮る。「だいこんの会」をやろうと話をする。澄ちゃんが休みの7月10日(火)に勝手に決定。しかし、もう「だいこん屋」が手狭になったので、西荻「三善屋」に変更。夜7時から。ここならけっこう入ります。来れそうなヒトは、ミクシィをやっているヒトだと「す」さんにメールしてください。仲間を連れてきてもいいよ。
連日、堀江敏幸『回送電車』(中央公論新社)とその続編『一階でも二階でもない夜』を読む。堀江さんがあんまりうまく、本を紹介するので読みたい本がまた増えてきたなあ。
荒川洋治さんの読書エッセイ集『黙読の山』(みすず書房)届く。三分の一ほど読んだけど、やっぱりいいや。
林哲夫さんの白水社の新刊のゲラが届く。『古本屋を怒らせる方法』というタイトル。そういう一文があるのだ。林さんの本で、白水社で、これはけっこう刺激的なタイトルだ。これも三分の一ほど読んだが、おもしろい、おもしろい。
昨年まで仕事をしていたライター編集者の女の子Fさんから、急きょ「ブルータス」で短い原稿を依頼される。締切は目前。Fさんの頼みじゃ、断れないよ。