ハンシン王子返上

13日水曜日、「サン毎」終え、神保町経由、所沢の西武球場前行き。タテキンで「ちくま文学の森」が100円でごっそり出てて、どれ持ってるかわからないが、『機械のある世界』は持ってなさそうなので、これを確保。新潮日本文学アルバムが300円でごっそり出てて、『佐藤春夫』は持ってなさそうなので、確保。歩いてお茶の水丸ノ内線)へ。ひさしぶりに聖橋口の立ち食いソバを食うか、と思ってたら、シャッター閉まってる。聖橋の路上で雑誌を売ってるところで、「週刊文春」を買う。魚雷くんの『古本暮し』書評が掲載されていて、吉田豪が書いているのだが、なんだかちょっと変てこな書評。つまり、古本については吉田豪は自分の分野(タレント本蒐集?)で、言いたいことがあり、それを言ってしまったために、書評としてはちょっとバランス悪いなあ、ってことだ。これはぼくも注意せねばならぬこと。でも、よかったね、魚雷くん。
で、西武球場。いま、なんちゃらスタジアムとか呼ぶそうだけど。駅名はそのまま。改札でフリーとなった岡部くんと待ち合わせ、球場へ。しかし外野はすでに満席。紀伊国屋トラキチ娘・林が最前列に席を確保していてくれた。ビール、たこやき、カレーせんべいの応酬。たこやきは外で買ったが、ただ小麦粉を溶いて、タコを入れただけ。味もついてないし、卵もなし。ひでえなあ。大阪やったら屋台をひっくりかえされているところだ。
で、西武戦、惨敗。岸という聞いたこともない、今年入ったルーキーに零封される。いいとこ、まるでなし。ぼくの不敗神話はあっさり崩れ、ハンシン王子が、ただの、みなみらんぼうに間違えられたおっさんになってしまった。あとから犀の国からやってきた千代ちゃんもがっくり。この日は林のウン回目の誕生日と聞き、なんとかしてやりたかったが。
4人でとぼとぼ国分寺へ出て、カラオケで林の誕生日を歌って祝う。ただのおっさんになりさがったぼくは、吉田拓郎「いくつになってもハッピーバースデイ」というぴったしの歌をうたう。
昨日、今日とプルースト学者でフランス文学翻訳者の井上究一郎のことをずっと考えている。ささまで『忘れられたページ』を買った時、たった小波が波及し、ちくま文庫ガリマールの家』を克明にノートを取りつつ読みつつ、津波となった。これはすげえや、という下品な言い方が似合わないが、素晴らしいフランス滞在記。なんというか、小説のようなエッセイのような、映画のような。日本語の宝ですな。蓮實重彦の解説もいい。でも、品切れだぜ。というより、よく文庫に入ったな、という一冊である。あれ、1200円もするんだ。ちくま学芸文庫クラスの値段だ。「ブ」で半額でも700円とかになってしまう。
大阪府出身と知り、どこで生まれたかなどもっと知りたくなる。筑摩から『井上究一郎文集』全2冊という素晴らしい本が出ているが、ここは単行本と訳書を一冊ずつ集めていきたい。『ガリマールの家』は、とにかく、買いだ。さあ、みんな古本屋へ走れ。