ハンシン王子と呼んでくれ

6日、午前中にサンデーの書評、山田深夜『電車屋赤城』角川書店を書いて送る。これはおもしろい小説。もと京急の職員だった著者が、電車整備士の仕事の誇りと、それに対して電鉄が衰弱し、合理化していく姿を描く。ちょっとドラマを作り過ぎるのと、演歌っぽいのが塩っぱいが、それも味と言えば言える。折からの鉄ブーム、映画化されるやもしれん。
サンデー終え、三省堂でまた『読書の腕前』に15冊、サイン、イラストを入れる。ちょうど伊丹十三が表紙の「波」を一階でもらったので、伊丹と、なかに登場する高橋源ちゃんを描く。いま「波」で注目が、佐野洋子が母親のことを書いた連載「しずちゃん」で、これは、もう、一行、一行がすごい。武田百合子に比肩できる文章の凄みで、口をぽかんと開けていつも読んでいる。本になるのが楽しみ。
タテキン、ささまで例によって例のごとくごちゃごちゃ買い、興居島屋で澄ちゃんと喋る。「のらぼう」の場所を聞く。今夕、中央公論の担当者・Tくんとここで食事。十数名でいっぱいになるような狭い店だが、人気店で要予約。野菜を中心に、素材の旨さを引き出した創作料理はどれもおいしい。Tくん、近々結婚するという。おめでとう。Tくん、静かなる知性派という感じの若い男性なのだが、「お笑いマンガ道場」のファンとわかり、その話題で盛り上がる。解散し、また音羽館へ寄って、酔っぱらったままで均一を覗いていると、買い入れた本の山を整理している広瀬くんに声をかけられる。雑学本ばかりという奇妙な蔵書で、ほとんどは商品にならない。これ、どうですか、と言われ、なかから林光一『ルンペン学入門』、秋竜山『漫筆 差別鑑賞』を各100円でもらう。こんなの持ってて、警察に尋問されたらえらいことだ。おとなしく帰ろう。広瀬くんから、古本屋情報をあれこれ聞く。「ハートランド」が閉めて、あとに「ノマド」をやってた人が入るよう。「ハートランド」さんは信州の高遠へ行くという。そこで古本村を開設するというのだが。高遠と言えば、島村利正が高遠出身ではなかったか。
7日。なんだかあんまり寝付かれず、朝、TBSへ。ところが、高速へ乗る手前で、今日紹介する本を忘れてきたことに気づく。時間的にはかなりタイトだが、また家に戻り、30分のロスでひやひやしながら外苑へ。しかし高速が珍しく空いていて、無事到着。村松友視『淳之介流』を紹介する。
ひさしぶりに朝食会に出て、ハイヤーで吉祥寺へ。「無印商品」で、お楽しみ袋(なかが見える福袋)が売り出される。すでに開店前から長蛇の列。9割が女性。開店と同時、あっというまに、あちこちから手足が伸び、袋がつかみどりされ、なんとか確保。疲れた。
帰宅すると、月の輪書林目録が届いていた! くわしくは林哲夫さんのブログを御覧あれ。ベッドへもぐりこみ爆睡。夕食後、停めておいた自転車取りがてら、国立へ。齋藤記念オーケストラのDVD、チャーリー・ヘイデン井上陽水2枚組ベストなどを買う。このところ、数日で10数枚のDVD、CDを買う。なんだかヤケになったように。つま恋のDVDも今頃買う。もちろん見る。あの日が甦る、って、甦ってばっかりなんだが。また、しばらく忙しい。というか、このところ、ほとんど切れ目がない。
そんなところに、犀の国、千代ちゃんから阪神観戦のお誘い。楽しいことなら、いつでもGO! 西武球場だ。わしが行くと勝つ、とこのところのジンクスなり。わしのことを、ハンシン王子と呼んでもらおうか。