クリス、ジニアース!

4日は夕方まで仕事。山本との「対談」に書き込んだり、「ちくま」ゲラを海ねこさんとやりとりして、編集部へ送ったり、それに時事通信の書評、出久根達郎さんの『作家の値段』を書き、新潮「ヨムヨム」の原稿を書いたり。「ヨムヨム」には、グレゴリさん『ブンブン堂のグレちゃん』、魚雷くん『古本暮し』、出久根さんの『作家の値段』、伊藤茂次『ないしょ』、『伊丹十三の映画』、堀内誠一『父の時代・私の時代』を取り上げる。
北海道新聞から久々に依頼あり。佐藤友哉『灰色のダイエットコーラ』(講談社)は、若者に支持される新人の長篇。依頼がなければ読まないような本だと思うが、たまにはこういう本を読んでおかぬと、知らないまに遅れてしまうから、引き受ける。
夕方から外出。めざすは高円寺「コクテイル」。スタンバイ!でいつも一緒に出演している同い年の東洋経済の山懸さんと飲む。途中、西荻下車。興居島屋で澄ちゃんと、そろそろ「だいこんの会」をしようと話し合う。それに、「ちくま」の次回は澄ちゃん、ついに登場、を決める。なかなかウンと言わないのを、脅し、すかし、泣き落とした。「音羽館」均一で、服部公一『あなたとくらしと音楽と』(日本放送出版協会)、講談社文庫のフレンチミステリー、ドムーゾン『マドモアゼル・ムーシュの殺人』、店内で、小田光雄『ヨーロッパ本と書店の物語』平凡社新書300円を買う。服部公一の本は、堀内誠一が装丁とたっぷり挿絵を。服部の本はほかでも宇野亜喜良装丁本が何冊かあり、つねに著者名を注目すべき人である。
コクテイルでは山懸さんと気づいたら4時間も喋っていた。ミミカキさんが呼んで、魚雷くんと喋っていたノルウェーから来た若者クリスくんに仰天する。東大へ通っている25歳だそうだが、来日半年でもう日本語ベラベラ。使う語彙が我々とほとんど変わらない。トンガ人のことを喋っていたが、「彼等の骨(ほね)が厚いのは、世界一、骨密度(こつみつど)が高いんじゃないか、って言われてるんです」などと言う。来日半年で「骨密度」って! そのほか、魚雷くんとまったく対等にいろんな話をしていた。店に来たとき魚雷くんから紹介され、「岡崎です」と名乗って握手。1時間半後ぐらいにクリスくんが帰る時に、ぼくに向って「それじゃあ、岡崎さん、さようなら」と言ったのにまた驚く。ちゃんと名前、覚えてんだ。ぼくが彼に最後に「ジニアース!」と言うと、照れて「とてもそんなことではないですよ」と謙遜してみせた。この夜、ちょっと飲み過ぎて、国立駅を乗り過ごす。立川で折り返し、最終で帰る。